髭切

「そう言えば、この間悩んでいた件はどうなったんだい」
ふと、思い出したように言った髭切に、今それを聞くのかと思いつつ、突拍子もなく話されるのはこれが初めてではなかったので審神者は変な声が上がらないよう堪えながら口を開いた。
「……この、間って……っ」
「ほら、政府から特命調査の案件もちかけられなかった? なんだっけ、二〇一二年の東京に、とっておきの一振り送り込めってやつ」
「とっておきじゃなくて、練度の高……あっ、ん……」
政府から言われたのはとっておきなんて単語ではなかったと訂正すれば、髭切が何も纏っていない審神者の細腰を掴んだ。与えられる刺激に堪えるこちらを覗き込む意地悪な顔が近くなり、覆いかぶさるようにして髭切が口付けてきた。髭切が動くたび、隙間なく埋まった場所がみちりと中で動いて腰が逃げそうになる。
「んっ、んぅ……っ」
「で、とっておきの一振りは決めたの?」
「あっ……いや、そこ……」
浮き上がりそうになる腰を髭切の体が押えつけ、少しの隙間も許さない熱杭が奥まで捩じ込まれる。ぞくぞくと逃げ場のない刺激から体が本能的に逃げようとするたび、髭切は容赦なく追い掛けてそれを責める。まるでどこいくの? 逃げれると思ってるの? と言われている気がして、その執拗さにもがき苦しみながらも、審神者の心は甘い気持ちで満たされてしまう。
「あっ……ひ、ひげきり……」
「うん? 聞こえない」
「だから……っ、ひ、髭切……っ、ふぁっ……」
「ふふ」
「……ん、あぁ……っ」
髭切の腕が背に回り、仰向けの体が抱き起こされる。同時に中をごりごりと抉られ、審神者の喉がのけ反り、その首筋に髭切が頬擦りするように唇を這わせた。
「君の元を離れるのは寂しけれど、君のとっておきに選ばれてしまったら行かないとねえ」
「んっ、あっ……あ……」
「大丈夫、すぐ戻ってくるよ。君のもとに。……だって、僕は君のとっておきだもんね?」
「ひっ、あ……っ」




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