髭切

君から受け入れてくれるのが嬉しくて、何度でもこの姿勢を強要してしまう。
「んっ…………」
ほら、頭を入れただけでこの表情。
噛み締めた桃色の唇から微かに漏れる声がたまらない。ああでも君の柔い唇を痛めてはいけないから、僕は頬に手を添え、親指で撫でるようにしてこわばり解す。
「噛んじゃ駄目」
顔を近付け、そっと囁くと、それだけでも彼女は小さく震えてしまう。可愛い。そんなことでも快感として拾ってくれる彼女の反応が嬉しい。嬉しくて小さく笑えば、僕に跨ったままの彼女が唇に添えた親指の先を控えめにくわえた。
「…………」
何それ、可愛い。
一瞬、笑ったことを怒ったのかと思ったが(怒っても可愛いけどね)、目を見ればとろんとこちらを見ていて、その飴玉のような目に誘われ親指を口の中に突き入れる。すると小さな口の中で、舌で、指を愛撫され、思わず息を止めた。
真顔になりかけるのを堪え、いいのかな、でも主からやってきたし、と言い聞かせ、歯列をなぞれば、懸命に彼女が応えてくれる。遠慮なく動き回る指に合わせ、柔らかい舌が追い掛けてきた。はあ、いやらしいな、すごく。いやらしいのに、なんでこんなに可愛いんだろう、この子。我慢できなくなって、指を引き抜き、「……あっ」と切なげに声を漏らした唇に口付け、指ではなく舌を絡める。
「ふ、んぅ……、ん……っ、んーっ……!」
途中、焦れったく止まっていた腰を掴み、下から突き上げた。中でぐちゅんっと音がして、僕の口内で彼女の甘い悲鳴が響く。とろとろ蕩けた中は柔らかかったけど、突然穿たれてぎゅっと僕を締め付ける。その締め付けに僕もうっとりと声が出そうになったが口付けで誤魔化す。
ああ、どうしよう。すごく気持ちがいい。腰がぐずぐずに溶けそう。(まあ、ぐずぐず溶ける前に、まずこの子をぐずぐずにさせてからなんだけど)
「……ひ、どい……、いきなり……」
「ごめんね、焦れったくて、苛々しちゃった」
「い、いらいら……」
「大丈夫。苛々したのは僕。ほら、わかる?」
「あっ、や……っ」
「お願い、焦らさないで。僕、君を前にすると特別我慢できなくなっちゃうから」
「……んっ、やぁっ……あっ」
君と僕の間でつがい合う音がする。
なんて心地よいのだろうか。




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