終わりの朝

鳥の鳴き声に膝丸はふと顔を上げた。
部屋は朝の陽ざしを受け入れ、明るさを取り戻していた。その明るさに、どうりで審神者の肌が光り輝いて見えるはずだと膝丸は滑らかな白い肌に手を滑らせる。細い腰の線をそっと撫でてやればぐったりと敷布に身を投げ出すようにしている体がひくりと震える。いや、この肌は朝の光を借りずともいつも新雪のように眩しい。両手で掴めば指と指がついてしまうほど細い腰を引き上げ、膝丸は審神者を膝の上に抱き上げた。
「こら、まだ寝るな」
「んぁっ、い、いやぁ……っ」
数秒待てばすぐに意識を手放そうとする審神者を後ろから抱き上げ、萎えることを知らない肉棒で押し上げるように腰に力を入れる。膝丸を置いて眠りにつこうとしていたのを叱るべく、結合部の少し上の花芯を指の腹で擽ってやれば審神者はすぐに達してしまう。昨夜からもう何度目だろうか。
「ひっ……い、いやぁっ、も、もう、いやぁっ、お、終わりっ、もうおわりっ……」
審神者は既に達するのが嫌になっており、涙ながらに膝丸へと、この行為の終わりを懇願していた。
泣いて髪を乱す審神者を見詰めては、膝丸は流れる涙を舐め取る。
「君から言ってきたというのに、君から終わりを持ち掛けるなど、少々無作法ではないか?」
なぁ、と聞くのと同時に審神者の奥に自身を擦り付ける。びくびくと震える審神者の体をきつく抱き締め、膝丸は昨夜から続くこの長い夜をたっぷりと味わっていた。
終わりも何も、「明日はお休みにしたの。一日膝丸と一緒にいられるよ」と言ってきたのは審神者の方ではないか。はにかみながら、膝丸の手を握って、「ゆっくりしようね」と。だからこうして昨夜から審神者と一緒に、ゆっくりしているというのに。
「ああ……、終わりというのはもしやこの体勢のことか」
「あっ……や、ち、違……っ、んっ、ん〜っ!」
審神者から言い出したというのに終わりだのなんだの、一体何の冗談だと責め続けた膝丸だが、口端を上げてみせては審神者の体をまた布団へとうつ伏せに寝かせる。それから細い足を取っては大きく広げさせ、膝丸の肩まで上げさせた。
「はっ……あっ、い、いや、おねがい……も、もう、おわりぃ……っ、あ、朝、だからぁっ」
ぶるぶると首を振る審神者の目尻からまた新たな涙がこぼれる。外から差し込む朝の光を集めたその滴はまさに朝露。
膝丸は審神者へとぐっと腰を押し入れてはその朝露を舐め取る。
「いやだ」
「ひぁっ、いっ、いや、いやぁっ……」
朝日に光る白い肌を、頬を、べろりと舐め上げ、小さな唇に口付ける。唇が重なると審神者の中がきゅうっと小さく鳴くように締まり、嫌だなんだと言いながらもきちんと反応してくれる愛らしさに膝丸は恍惚と微笑む。
「君、今日は始まったばかりだぞ」
いつの間にか朝を迎えたこの行為は、またいつの間にか夜を迎えてしまうのだろうか。時を忘れるほど審神者と共にいられるとはなんたる至福だろうか、と膝丸は審神者の頬を撫でる。
「今日は一日、俺を側に置いてくれるのだろう?」
そうたっぷりと笑みを浮かべて見せれば審神者がひくりと喉を引きつらせたのがわかった。
まさか今日という一日はこれから始まるのか。そんな顔を向けられ、膝丸の加虐心はこれ以上にないくらい擽られた。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -