恋文

机から滑り落ちた手を髭切は掬い取ってはまた机の上へと乗せた。髭切が取った手は小さな握り拳を作ってはふるふると何かに耐えるように震えていた。その様子を髭切はくすりと小さく笑って見下ろしていた。
「ほら、お返事書かなきゃ」
しっかり。と審神者の耳元で囁いては、髭切は蜜壺の奥を固く丸い切っ先で擦った。
「あぁ、んっ……!」
「まあ、書かせないけど」
審神者の小さな手が通信機器の文字盤を掠める。通信機器の画面には、最近知り合った別本丸の審神者からのメッセージ画面が開かれていた。
別本丸の審神者とは、この間たまたま演練で対戦相手になった男審神者のことだ。対戦前に「よろしく」と馴れ馴れしく髭切の審神者に話し掛けるものだから牽制も込めて男審神者が引き連れた刀剣男士を完膚無きまで倒したのだが、それでも男審神者は髭切の審神者へ「お強いですね」「素晴らしい」「対戦相手になれて嬉しい」「強さの秘訣を教えてください」「今度食事でも交えて」と話し掛けてきたのだ。一体何しに演練に来ているのやら、髭切はその男審神者を睥睨しつつ審神者を引き離した。話し掛けられたからって律儀に相手なんかしなくていいんだよ、とその場で審神者に注意したつもりだったのだが、後日、審神者の通信機器を覗けばあの男審神者の名前が画面上に浮かんでいたのだ。
「僕に隠れてあの男とメッセージのやりとりをしていたなんて、いけない子」
「んっ、やぁっ、ち、ちがう……っ」
「何が違うの? お食事でもどうですか、なんてメッセージをもらって」
「あっ……、か、勝手に、きただけ、なのにっ……ん、んーっ!!」
柔らかい中を執拗に擦りながら、審神者の中の臓器を押し上げるようにして腰を押し込む。審神者の背が髭切の体の下で大きく仰け反り、無意識に逃げようとする腰を髭切は引っ掴んではまた奥を抉った。
「駄目だよ。僕につまらない嫉妬なんかさせないで」
「ひ、ぁ……っ」
衣服の裾を捲り上げ、ぴったりと合わさる柔肌に自分の肌を押し付けて奥を貫く。既に髭切のものは奥へと届いているのにも関わらず、ぐりぐりと容赦なく押し込まれるそれに審神者は声にならない声を上げた。まるで、杭を打って審神者をこの場から一歩も動けなくするかのようだ。
「主、お返事を書く手が止まってるよ。ほらちゃんと書いて」
「あっ……だめ、か、かけ、ないっ……あぁっ」
「ふふ、どうして。ねえ、どうしてお返事が書けないの?」
「んっ……ひ、髭切が、あっ……、お、おく、突く、から……っ」
「ん? 僕が奥突いたら、駄目なの? どうして?」
「だめっ……、わ、わかんなく、なっちゃうっ……」
激しく中を擦られ、弱々しく首を振る審神者に髭切はうっとりと目を細める。髭切に突かれると、審神者は気持ちよくて訳がわからなくなってしまうらしい。子犬のような声を上げる審神者に髭切は身を屈めた。
「可愛い……僕に突かれてわからなくなっちゃうの? ……ふふ、かわいい」
堪らず審神者の体を抱き締め、鼻先で髪をかきわけては耳裏に口付ける。ちゅ、と音をたてて口付ければ髭切の腕に閉じ込められた審神者がひくんっと震えた。
「いいよ、どんどんわからなくなって……。お返事は僕が送っておいてあげるから」
擽るような髭切の声の後、審神者の中が激しく掻き回される。腹に収まったままのそれが審神者を何度も何度も高みへと押し上げ、終わらない絶頂に審神者はただただ喘ぐのであった。
「僕のこれに手を出すなんて、千年はやい」
千年歳を取ってもくれてやらないけど。




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