カウチエッチ

不定期に行われる審神者研修は一日がかりで行われることがある。その際、審神者達は政府本部が用意したホテルで宿泊することになっているのだが、どうやら今夜はその宿泊手続きに不備があったらしい。本日審神者が用意された部屋は、シングルルームであった。
「……っん、ん」
ただ口付けているだけだというのに、審神者の中が口付けに合わせてひくひくと膝丸を締め付ける。膝丸の唇が審神者のうなじ、耳裏、頬に触れるたびに審神者の唇から息を詰めたような声が聞こえる。きっと声を我慢しているに違いない。声を懸命に堪える審神者を正面から見れない体勢を取ってしまったのは失敗だが、これはこれでいいと膝丸は審神者の腹を抱く両腕に力を込めた。
「ん……、う、動いちゃ、だめ……」
「残念だが俺は動いていない。動いているのは……君の中だ」
「ひ、うっ……」
審神者の薄い腹を指先で線を引くように擽る。審神者の柔肉がまた膝丸を切なく締め付け、この行為の続きをせがんでいた。一方、動くなと口にする審神者は膝丸により衣服を剥かれ、執拗に繰り返された愛撫により肌を薄紅色に染めていた。審神者の華奢な体は膝丸によって抱えられ、膝丸は審神者を後ろから抱くようにして自分の膝上へと乗せていた。
「俺の言う事を大人しく聞いていれば良かったものを……」
備え付けの一人分のカウチに膝丸が腰掛け、その膝上に後ろから跨るようにして審神者が乗る。
膝丸は軽く腰を持ち上げ、審神者の体を下から押し上げた。
「やぁあ……っ!」
ぐう、と押し上げられる体に審神者は背をそらした。
「君が大人しくベッドで寝ると言えばこうはならなかった」
「あ……っ、だ、だって……っ、あ、あぁっ!!」
押し上げた腰をふっと下ろす。すると審神者の体もそれにならって膝丸の膝上へと落ち、落ちたと共に奥を鋭く貫かれる。ぎゅうっと強く締め付けられながらも、膝丸は短く息を吐き出しては審神者の耳元で笑ってみせた。
「椅子で一晩寝るくらい、俺にとってたいしたことではない。気を使うな」
手違いでシングルルームを用意された審神者は、近侍としてついてきた膝丸にベッドで寝るように言った。自分は膝丸より体が小さいからこのカウチで十分だと。
「やぁ……、ひ、膝丸、実戦、演習で、疲れてる、のに……っ」
「ほう、疲れているように見えたか。俺が」
「あぁんっ! やっ、う、奥、だめ……っ」
審神者が大会議室で研修を受けている間、連れてこられた刀剣男士達は実戦演習をさせられていた。皆、各本丸を代表して来ているだけあり、なかなかの腕利き揃いで、研修を終えた審神者が迎えにくるまで膝丸はつい夢中になって演習に挑んでいた。
そんな膝丸を見て審神者は気を利かせたかったのか、膝丸にベッドを譲ったのだ。もちろん膝丸がそれに頷くわけもなく、「一緒に寝ればいいだろう」と提案したにも関わらず、「いいよ、疲れているでしょう? 一人でベッド使って」と言う審神者に「いいや君が」「ううん膝丸が」「君が」「膝丸が」と口論になり、しまいには「ひ、膝丸がカウチで寝るっていうなら、わ、私もそのカウチで一緒に寝るよ……!」と言い出した。
おそらく、そう言えば膝丸が渋々ベッドで寝るとでも思ったのだろう。二人で狭いカウチで寝るよりも(そもそもカウチは寝るものではない)、一人カウチで寝かせた方がいいと考え直すに違いないといった顔でこちらを見る審神者に膝丸はやれやれと肩を落としたのだ。
「どうだ、君がこのカウチで寝ると言ったのだ。寝心地は、良さそうか」
「やっ、あ、あぁっ!」
下から審神者の体をゆさゆさと腰を動かせば、審神者の体がそれに合わせて揺さぶられる。細い腰を持って突き上げると審神者の手が膝丸の腕を掴んでは柔らかい髪を振り乱す。先までは淑やかな審神者の顔をしていた彼女が、こんなにも足を広げ(広げさせているのは膝丸の足だが)、髪を乱して甘い声を上げる。膝丸だけに見せる彼女の女の姿に、膝丸は恍惚の息を漏らす。
「……あまり、大きな声を出しては隣に聞こえてしまうぞ」
煽るように言えば、審神者の奥がきつく膝丸に吸い付いてきた。可愛らしい締め付けに膝丸は息を詰め、大きな手で審神者の腰と足の付け根を撫でる。
「どうか、君の可愛い声を俺以外に聞かせないでくれ」
――この声を聞いたものの耳を削ぎ落としたくなる。
その手はそのまま審神者の秘部へと下り、小さな花芯を指の腹で撫で上げた。
「あぅ、うっ!」
「悪い子だ。言っているそばから……」
そう口端を上げて笑った膝丸は審神者の腰を掴んだ。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -