今夜も君の処女が奪えない

はち切れんばかりに膨れ上がった先を審神者の花弁に擦り付ける。柔らかな襞と蜜が膝丸の先端に擦れ、動かすたびにそこから甘えた音が聞こえてくる。
「はぁ……、君、入れていいか……入れたい……」
吐息なのか溜息なのか、自分でさえ判断のつかない息を吐きだし、膝丸は審神者の体へと覆い被さった。触れた肌は汗ばみ、審神者のしっとりとした肌に吸い付くようだった。
気持ちが良い。審神者の肌は触れているだけでも気持ちが良い。肌と肌が触れ合うとはこういう事なのかと実感する。初めて審神者と手を繋いだ時にも気持ちが良いと思えたが、素肌の、汗をかいた肌に触れるのはこんなにも気持ちが良い。
こんな気持ち良さを知ってしまったら、もう後には戻れない。求めるだけ求めてしまう。
(もっと……もっと触れたい。境目など感じさせないほど、濃く、深く)
膝丸は求めていた。
肌と肌以上に、審神者と一つになれる事を。深い気持ち良さを。
「あっ……や、だめ……」
「何故……君のここはこんなにも泣いている……。蓋をしてやらねば可哀想だ」
「し、しなくて、いいっ……ん、ああっ」
ふるふると首を振る審神者に何をそんなに拒むのだと恨みがましく花芯を擦る。丸い先を強く押し付けると審神者の中から蜜が零れ出て、膝丸は一滴も溢すまいとすくってはその芯に擦り付けた。
「君が欲しい、入れたい。君は、欲しくない、のか」
「ほ、ほしく、ない……っ」
「嘘だ、欲しいに決まっている」
「う、嘘じゃな……あっ、やあっ……」
くぷ、と蜜口に頭を突き付ける。狭い入口が窄むように膝丸の切っ先に震え、膝丸は自身に手を添えた。
もういい。もういい気がする。何度この流れを繰り返したか。閨の経験がない審神者を傷付けないよう、怖がらせないよう、慎重に事を進め、これは気持ちの良いことなのだ、この膝丸と一つになるため、より深い仲になるための気持ちの良い行為なのだと教え込んで、これは何度目の夜だ。
無理に突き入ることはせず、審神者の蕩ける顔と声と体を堪能し、いつかこの場所を暴いてやると何度奥歯を噛み締めたか。
俺は頑張った。よく耐えた方だ、むしろ強靭な理性だと褒めてもらいたい。そう膝丸は腰に力を入れる。
(これは、無理矢理ではない。教えてやらねば。これを入れたのなら今以上に気持ちの良いことがあると……)
おそらく審神者は未知の快楽に怯えているのだ。そう、初めて胸を揉んだ時もそうだった。慎ましい膨らみをそっと揉み込めば「膝丸、待って、あ、頭が、ふわふわするの……怖い」と途惑った顔を見せた審神者に「感じているのだな」と教えたように、今この瞬間も、教えてやらねば。
「ひ、ひざまる……ひざまる……」
膝丸の腕に審神者の指が食い込む。食い込むといっても縋るような手つきの弱々しいものであったが、膝丸の動きを止めるには十分過ぎた。何故なら、審神者の目から涙がぽろぽろと零れ落ちているのだから。
「待って、こ、怖いの、やめて……お願い」
怖い事、しないで……。と泣きじゃくりながら口にした審神者に膝丸は何か苦いものでも噛み締めたように顔を顰めた。いや、実際に苦い。審神者の涙を前にして、怖い事をしないでくれと泣きつく審神者を前にして、胸が。罪悪感で心臓が張り裂けそうだ。
「君は……狡い……!」
審神者は、膝丸が審神者を決して傷付けないと知って涙を見せるのだ。なんて狡いのだろう。そんな涙を見せられたら、この楔を打ち込んでやると荒いだ勢いは萎え、可哀想な気持ち一色になってしまう。
違う、これは君と俺がもっと気持ち良くなるためにすることであって決して怖いことではない。
そう教えるために突き破ってしまいたいのに。膝丸は舌打ちをし、剥き出しの花芯の上に熱く滾った熱棒を置き、審神者の丸い膝を掴んでは柔らかい腿でそれを挟み込んだ。
「やあぁ……っ!」
硬い棒で審神者の花芯を強く擦り付ける。ああ、これも何度目だろうかと膝丸は強く腰を打ちつける。審神者の蕩けた襞と花芯と腿は気持ちが良い。気持ちが良いのだが、それ以上に気持ち良くなれる術を知っているというのにそれが得られないこの空しさ。
「くっ……、君の涙が、憎い……」
「あっ、やっ、やぁっ……!」
蜜口を掠め、柔らかい太腿に挟まれ、花芯を擦る。審神者から零れる蜜で滑らかに擦れては甘い刺激が全身に走る。甘いのだ、強烈ではなく、ひたすらに甘い、ぬるま湯のような気持ち良さ。
涙を散らす審神者の顔を膝丸は食い入るように見下ろした。
「あっ、ひざまる、ああっ、こ、こすっちゃ、だめぇっ……」
(可愛い……涙を流す君はこんなにも可哀想で可愛い……可愛い……)
この荒ぶる獣を従わせてしまうその涙が憎い。可哀想で、可愛くて、ひたすらに憎い。
「くっ……」
「あっ、あ……ん、んーっ……!!」
ぎゅう、と腿がきつく締まる。それと同時に膝丸も絞り出されるようにして熱を審神者の腹に吐き出した。平らな腹に膝丸の熱が飛び散り、汚していく。
ひくひくと震える審神者を見下ろしては、膝丸はまた吐息なのか溜息なのか、自分でさえ判断のつかない息を吐きだした。




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -