姉フルエンザ
俺は思うことがある。
なまえは柔らかい。
いや、それはなまえが太ってるとかそういう意味じゃなくて、むしろなまえは普通体型でほんのちょっと性格が幼くて仕草とか子供っぽくて、いや、子供体型とかじゃなくて、でもなんか柔らかくてキスを頬とか唇にするとそこがふにふにしててとってもキモチイイ。柔らかくて。あとキスした後とか抱き締めた時とかくっつくと無駄にどもるのが可愛い。緊張するらしい。
「ちょ、ちょちょちょユウ君!?ななななにしてんすか!?」
ほら、どもった。(可愛い。)
「胸触ってる。」
「ちょ、あ、や、やめっ」
後ろから抱き締めて胸をむにむにと揉めばなまえは頬を赤くして俺の腕から逃げようとしたが残念だな。俺の腕はなまえを抱き締めた瞬間オートロックだ。俺しか開けられない俺様専用のオートロックだ。離すか、ばか姉。
「やっ、あ、ユウ君の、へ、へんたいっ!えろすっ!」
あーまじで柔らかい。胸だから柔らかいのはそうなんだがなまえの胸は特別だと思ってる。そんな大きくないが俺の手におさまるこのサイズが大変好ましい。気持ちいいしなまえの反応がおもしろいし可愛いし。キスしたくなる。
「あっ、ユウ君…ま、待って、ん、」
俺は思ったまま後ろからなまえにキスをした。後ろ向きにキスしたら苦しそうだったからなまえの体を反転させて今度は真正面からキスをした。なまえの唇を細かく吸ってリップノイズを鳴らすと薄く開けた目に、恥ずかしそうに目をつむるなまえがいて、やべぇ、俺の姉、本当に可愛い。こんな顔を見たら姉とか弟とかどうでもよくなる。
「ま、待って、ユウ君、ん、ぁ、ユウ君、あ、あつ、い…!」
胸を触りながら色んなところ、耳とか頬とか目じりとかにキスをしてるとなまえが俺の胸を押した。下唇をちゅ、と吸って俺は体を離した。恥ずかしさからくる涙で瞳を潤ませているなまえを見て俺の頭はぼおっとした。目眩もする。なんだ、こいつは。エロスはお前だばか。可愛すぎるんだよ、ばか。くっそ、体が、熱い…。ふらふらする…、となまえの前で足をふらつかせるとなまえはさっきまでとろんとさせてた目をキッと上げて俺の腕をつかんでソファに座らせた。う…、視界までぐらぐらする…。なまえはぼおっとする俺の額に手を置いた。いつも温かいなまえの手が今日はひんやりしてて、きもちいい。
「ぎゃっ…!ユウ君やっぱ熱あるっ」
「うるせー…、頭に響く…。」
「立派に熱だね!」
「熱なんか、ねぇ…。」
いや、あるから。多分八度ぐらいあるから。となまえが言ったのを最後に、俺の意識は遠退いた。
「インフルエンザだって。」
なまえが俺の前髪を分けた。視界はいつの間にか俺の部屋の天井で、あぁ、最高に気持ち悪い。体が痛ぇ。だけどなまえの指先が優しくて、気持ちいい。なまえに触りたくて手を伸ばせばぎゅ、と手を握ってくれた。小さくて、柔らかい、なまえの、手。
「伝染る、ぞ…。」
「ならこの手はナンデスカー。」
「うる、せ…。」
首筋になまえの手がある。「まだ熱高いねー」の言葉に、あ?俺は何時間寝てたんだ?と思った。
「うどん作ろうと思うけど食べれないよね?」
「…きもちわりぃ。」
「うん、ポカリ持ってくるよ。」
冷たいタオルで顔と首を優しく拭かれてなまえが立ち上がった。繋いでた手が離れて、思わず、なまえの服の端を掴んだ。なまえは少しびっくりした顔をしたけど、いくな、って俺が小さくいったら、やさしく、やわらかく、ほほえんでくれた。
「もうちょっとここにいてあげる。」
「………ん。」
「医者の息子がインフルエンザ…。」
「うるぜぇ…ゲホッ」