Innocence(無邪気)

水金




水戸部は困っていた。
ほとほとに困り果てていた。
空は快晴、四時限目は体育、そして先ほど昼休みの昼食タイムを満喫したばかり。
ここは屋上、昼下がりの優しい日差しに春の風。
天候に適度な疲労に満腹感が加わったらどうなるか、
答えは良質な睡眠、だ。

「……」

水戸部はほとほとに困り果てていた。
何故ならその法則にものの見事に乗っかった小金井が、自分の足を枕に眠っていたからで。
もう予鈴が鳴ってしまった。
体を揺すっても起きない小金井を置いていくわけにもいかないし、しかし起こすにはどうしたらいいだろう。
そんな画策をしている間についに本鈴が鳴ってしまって、水戸部は諦めたようにため息をついて背中をフェンスに預けた。

「…水戸部」
「!?」
「ごめんね」

あんなに起きなかった小金井の声に驚いて見ればぱっちり開いた瞳がこちらを見ていて、口許は悪戯が成功した子供みたいに笑ってる。

「水戸部ともうちょっと一緒にいたくて、寝たふりしちゃった」
「……」

無邪気なふりして時々小悪魔な恋人に苦笑。
てへ、なんて笑ったその口に、お仕置きと言わんばかりにキスをした。






Innocence
(天然小悪魔小金井と実は黒バス一ビシッと決める男水戸部が理想です)







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