Hero(英雄/男主人公)

笠黄




「おら、黄瀬」
「ぴっ!!?つめっ…て、ぇ、先輩?何すかこれ」
「やる」

突然頬に冷たいものが当たって振り向いたら先輩がいてそのまま何か手渡されて…
突然すぎる展開に頭がついてこない。
あんまりにも間抜けな顔をしていたのだろうか、ベンチに座っていた俺を見下ろしていた先輩が苦笑した。

「それ飲んだら、帰るぞ。外で待ってっから」

肩にいつものように拳を落として、先輩は更衣室から出ていった。
どうしてだろう、なんで先輩はわかってしまうんだろう。
わかった上で優しさをくれる。そして踏み込んで欲しくないところには触れずに、気づかないフリをしてくれる。

「…凹んでたこと、忘れちゃったじゃないっすか」

熱くなった頬に押し当てた炭酸飲料が心地よかった。
いつだって俺の英雄は先輩で。
いつだって俺は先輩を追いかけるのだ。






Hero
(弓月の中で本誌の進行と共に猛烈に急上昇しているイチオシかぷ)







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