▼Fantasia(幻想曲) 誠凛二年生ズ 誰が夢見ただろう、こんな、信じられないような未来。 「あの時はどん底だったな…」 「調子に乗ってきたところを見事に叩き潰されたって感じ」 「コガめっちゃ泣いてたよな」 「む!そう言う伊月だってそうじゃん」 「…」 「ほら、水戸部がみんな泣いたって言ってるし!」 「ほんとにね…。みんなもうやめちゃうのかと思ったわよ」 「…カントク」 屋上で、いつもの面子で、飯を食いながらだべる日常。 空はよく晴れていて疲労が溜まった体に日光は優しい。 嘘みたいだ。そう思う。 去年は敵う術させ持たなかった自分たちが、絶望に叩き落とした張本人に勝つ、だなんて。 あの頃の自分達からしたらなんて幻想曲だ。 「でも、みんなちゃんと戻ってきてくれた。ちゃんと、乗り越えた」 そう、これは揺るぎない現実。 乗り越えた山の向こうに更なる山があることも知っている。 俺たちは、過去を乗り越えた。 本番はここからだ。 「まぁ頼もしい後輩も大活躍してくれてるし」 「もうすぐアイツも戻ってくるだろうし」 「頑張りますか」 「おう」 「…」 「手加減しないからね」 中心に突き出した拳が6つ、こつんと触れ合って風が流れた。 Fantasia (このメンバーの空気が好き。ちなみにアイツとは木吉です) |