Fantasia(幻想曲)

誠凛二年生ズ




誰が夢見ただろう、こんな、信じられないような未来。

「あの時はどん底だったな…」
「調子に乗ってきたところを見事に叩き潰されたって感じ」
「コガめっちゃ泣いてたよな」
「む!そう言う伊月だってそうじゃん」
「…」
「ほら、水戸部がみんな泣いたって言ってるし!」
「ほんとにね…。みんなもうやめちゃうのかと思ったわよ」
「…カントク」

屋上で、いつもの面子で、飯を食いながらだべる日常。
空はよく晴れていて疲労が溜まった体に日光は優しい。
嘘みたいだ。そう思う。
去年は敵う術させ持たなかった自分たちが、絶望に叩き落とした張本人に勝つ、だなんて。
あの頃の自分達からしたらなんて幻想曲だ。

「でも、みんなちゃんと戻ってきてくれた。ちゃんと、乗り越えた」

そう、これは揺るぎない現実。
乗り越えた山の向こうに更なる山があることも知っている。
俺たちは、過去を乗り越えた。
本番はここからだ。

「まぁ頼もしい後輩も大活躍してくれてるし」
「もうすぐアイツも戻ってくるだろうし」
「頑張りますか」
「おう」
「…」
「手加減しないからね」

中心に突き出した拳が6つ、こつんと触れ合って風が流れた。






Fantasia
(このメンバーの空気が好き。ちなみにアイツとは木吉です)







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