クリスマスの体温

*『憂鬱』続きの高緑





あ、雪降ってきた、と高尾が呟いた。

「早く家についてよかったねー」

窓の外を眺めながらのんびりと。
ホワイトクリスマスだーなんて言う高尾にイラッときて背中に体重を預ける。
ぐえ、なんてみっともない声を出した。
ざまぁみろ、なのだよ。

「ひどいよ真ちゃん不意打ちは」
「やかましい。だいたい何故おまえに抱き抱えられなきゃならんのだ」
「えー、寒いから?」
「何故疑問系なのだよ」

毛布の端と端を持った高尾に後ろから抱き締められる姿勢で座っている。
確かにあったかい、あったかいが。

「あったかいならいいじゃん、最近忙しくてゆっくりできなかったんだからさ。こんなときくらい、ね」
「…」

だめ?と聞きながら腕の力を弱める気配がない相手に苦笑する。
どうせ離せといったところでこいつは離さないのだろう。

「仕方ないのだよ。ただし冷たくなったら容赦なく捨てるからな」
「ひどっ!人を使い捨てカイロみたいに!」

くだらないじゃれあいをしながらふと見た外は、静かに雪が降っていた。
そろそろアイツも仕事が終わる時間だ。
鬱陶しいくらい沈んでいた奴も、もうすぐ自分も恵まれているのだと気づくだろう。

「…真ちゃん」
「なに…っ」

振り向きざまにキスされて、ばさりと毛布を頭から被せられた。
メリークリスマス、
囁く高尾に日付が変わったのだと知る。

「プレゼントは朝のお楽しみ」

にんまりと笑う高尾のデコを悔し紛れに弾きながら、期待してないのだよ…と呟いた。










(まだまだ続きます)










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