Yielding(従順)

高緑




「高尾、早く漕ぐのだよ」
「っう、せーっ…ちょ、待って…」

高尾は自転車のハンドルに全体重を預け肩で息をしていた。
俯いた額からは雫石となって汗が落ちる。

「早くしないと日が暮れる」
「…いつもより遠出した、のに、運転手に労いのチューとか、ねぇの…?真ちゃん」

涼しい顔して高尾がひくリヤカーに乗車している緑間さん。
無駄だと思いながらも口にしてみた願望、
じゃないと結構体が限界だ。

「バカめ」
「やっぱり?」
「こんな往来でできるか。…部屋でなら、考えてやっていい」
「ですよねー…って、え?」
「だからとっとと漕ぐのだよ」

理解するのに10秒、足が動き出すまでに20秒。

「約束、だかんな!!」

スピードアップするまでに30秒。
後ろでため息が聞こえた気がするが構うものか。
俺は欲望に従順で。結局それは女王様で恋人な緑間に従順ってことになるわけで。

「真ちゃん大好き!!」
「うるさいとっとと漕ぐのだよ!」

まぁ幸せだから、いっか。となるわけです。






Yielding
(女王様と下僕。飴と鞭。すなわちツンデレ)







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