Megalopolis(巨大都市)

水金




ありゃりゃ、と小金井は思った。

「はぐれちった…」

あはは、なんて乾いた笑いをこぼす。
これはやばい。
ここは結構遠い知らない土地で、部活のみんなと目的地に向かう途中であった。
こんなときに限って携帯電話を忘れ、目的地についても詳しく話を聞いてない。
これは本格的にやばい…
雑踏から逃れるように何かの銅像の下に立つ。
どうしようかぐるぐる考えるが焦りすぎて妙案が浮かばず、行き過ぎる大勢の人達を見ていたら不安が増大するばかり。
不覚にも泣きそうになった瞬間、ぐいと手を引かれた。

「水戸部!?」
「…っ」

よかった…と心の底から安堵したように水戸部がほぅ、と息を吐いて、さりげなく俺を胸に抱き寄せた。

「すごい水戸部…どうやって見つけてくれたの?」

もう今俺はとてつもない安心感に包まれて、感動やらなんやら別の意味で泣きそうだった。
問いかけても水戸部は笑うだけで答えてくれなかったけど、なんでもいいや。
ぐりぐりと額を広い胸に押し付けて胸いっぱいに水戸部の匂いを吸い込む。

すっと手を取られて軽く引っ張られる。
行こう、みんなが待ってる。そう目で言われて頷いた。

巨大都市を君と手を繋いで駆ける。
見つけてくれてありがとう、やっぱり大好き!






Megalopolis
(この二人はテレパシーが使えると真剣に思う)







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