震える指がすがる理由は



昨日は日付をまたいで帰宅しました。
飲み会楽しすぎたっ!

今回も福蒼です。くっつく前です。
てかくっつく前しか書いてない気がします…
ほんとはイチャコラ大好きなんですけどね(汗)
sssだとくっついてイチャコラしてる2人ばっかなんですけど。
そろそろ次からイチャコラしてる2人を書きたいなあと思います。


管理人の中で福田さんは王子なので(描いてる漫画もナイトですし(笑))
王子の王道なシチュエーションで書いてみました↓






震える指がすがる理由は




あぁ…本当にもう、うんざり。
あからさまなため息、嫌ですという気持ちが全開の顔…をしているはず。
なのに。

「ねぇねぇ何処いくの?」

さっきから変な男に付きまとわれている。
明らかに遊んでます!な感じのその人はたぶん私より年下。
もしかしたら高校生かもしれない。
それなのに妙に馴れ馴れしく、急いでますからと何度言っても付きまとってくる。

「お茶しない?いいとこ知ってるんだ、教えてあげるよ」
「間に合ってます」

余計なお世話、きっと貴方みたいな人と私は趣味があわない。
大ぶりのアクセサリーをじゃらじゃらつけてパンツはだぼだぼ。
だらしないったらない。
しかも似合ってない。

「そんな冷たいこと言うなよ〜せっかくかわいい顔してるのに」
「っ」

もう我慢の限界だ。
そう思って立ち止まる。

「おっ、ようやくその気になった?」
「いい加減にっ…!?」

してください、と続けるはずだった言葉はあまりの驚きにかき消される。
あろうことかこの男は私の腕を掴んだのだ。

「ちょっ、やめてください!」
「さ、いこいこ」

抵抗するもまったく敵わず、まわりを見回すも誰もこっちを見ない。
なんて薄情な。
だから人が多いだけのところは大嫌いだ。

「っ離して!!」

ずるずる引きずられるその力の強さに、初めて恐怖を覚える。
どうして男の人はいつもこうなんだろう、
どうして人の気持ちを考えないんだろう、
どうして簡単に踏みにじれるんだろう。
今までに起きた嫌な記憶がフラッシュバックして吐きそうになる。
触れている箇所が堪らなく不潔で嫌だ。

「あんたも往生際がわる……」

抵抗を重ねたことにうんざりしたのか、振り返った男が、固まる。



「何処の誰だか知らねぇけど、こんだけ嫌がってんだ。とっとと諦めな」



え……?
聞き覚えのある声が、すぐ背後から。
衝動のまま振り返ればそこにはやはり、

「福田さん!!」

あのときのように、突然現れた彼は、私の腕を掴んでいる男の手首をぎりりと掴み、どうしても外れなかったその指を外してくれた。
その隙にぐいっと腕をひくと、それを助けるように福田さんが体を引っ張って引き離してくれた。

「それにこいつは俺の連れなんだ」

福田さんの大きな掌が肩を支え、そのまま背中に庇ってくれる。
温かく力強いその掌と、思っていたよりも大きな背中。
なぜか無性に、心から、安堵した。





福田さんのあまりの剣幕に男はさっさと逃げていった。
本当にもう、なんて人だったんだろう。

「…福田さん」
「っとにあんたは…」

振り返った福田さんは、さっきは気づかなかったがうっすらと額が汗ばんで肩が少し上下している。
がりがりといつものようにニット帽ごと頭をかいて、ため息を一つついて彼は両手で私の肩をがっと掴んだ。

「ああいうときはどっか適当な店に逃げ込め!それか完っ全にシカトしろ!!立ち止まるやつがあるかこのバカ!!!」

どうやら私が立ち止まって振り返ってからの騒動を少し離れたところで目撃した彼は、走って助けに来てくれたらしい。
ものすごい勢いで怒られて、あまりの勢いに、はい、としか言えない。
実際その通りで申し訳なくなり、ごめんなさい、と小さく謝る。

「よし、いい子だ」

肩に置かれていた手が、ぽんと頭に移動した。
するとどうだろう、足がカクカクと震えて、目にうっすらと膜が張ったように福田さんがぼやける。

「ばぁか。…怖かっただろ」

くりくりと、頭を撫でられて俯く。
情けない顔は見られたくなかった。

怖かった。

男の人の力があんなに強いなんて知らなかった。
ものすごく気持ち悪かった。

「ふくださん…」

また彼に助けられた。
あのときもそう。
わざわざ居場所を調べて、バイクで走ってきてくれたのだ。
彼には、助けられてばかり。

「ん?」
「ありがとうございました…」

掴まれていた肩がまだじぃんとして力の余韻が残っている。
知らない男から引き離してくれた腕の力強さ。
角張った体の線に大きな掌、自分がすっぽり隠れる広い背中に見上げなければ見えない鋭い目。



皮肉なことに、福田さんも男の人なんだということを、今さっき本当の意味で理解した。
今まではそれよりも『漫画家』としての認識のほうが強かったから、あまり男性としては意識していなかったのかもしれない。
もしかしたら、男性不信になりそうだった自分が気づかぬうちに意識させないようにしていたのかもしれない。
でも。



無意識のうちに福田さんの服の裾を握っている自分の指に気づいて少し驚く。
自分の体の自由を簡単に奪ってしまえるほどの力と対照的な、すべてを覆い隠してくれた背中に、包み込んでくれるような掌の優しさ。

福田さんに触られるのは、全然嫌じゃなかった。

むしろ、とてもとても、心地よい。
今の自分は安らぎすら感じる。

「…今日は、送ってってやるよ」

とくんと胸が疼く。
一緒にいてくれる。その事実がこんなにも。


震える指がすがる理由に名前がつくのはもう少し先。









蒼樹さんは綺麗なのに男運が悪いと思います(笑)
王子な福田さんに蒼樹嬢がときめけばよい。
これがきっかけで意識しはじめちゃえばよい。
ちなみに福田さんはとっくに意識してます(笑)







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