とある先生の恋愛レッスン


昨日更新しようとしたまま寝てしまいました汗
久しぶりの更新です、すみません(>_<)
福蒼です。
福田さんが自覚するお話です。
安岡くんを絡めることができて個人的に満足です(笑)
ではどうぞ(^ω^)








とある先生の恋愛レッスン





福田真太の心は今もやもやしたものでいっぱいになっていた。
よいとはいえない目付きが更に悪くなり、慣れているはずの安岡が一瞬怯むほどである。
しかしその悪い目付きが睨んでいるものを見れば、その理由が簡単に思いつきなぁんだ、と胸を撫で下ろすのがここ一週間の彼の日常だった。

そんな安岡くんの気苦労などまったく意に介さず(というか気づかず)
携帯を睨んでいる福田真太は一週間を悶々と過ごしていた。
なぜかって?

『…最近、蒼樹嬢がおかしい』

これに尽きる。
蒼樹がメールで福田の空いている時間を聞き、その時間になると電話をかけてくる、というのが最近の2人だった。
それは主にネーム指導に関するものだったが、だんだんとそれだけではなく、散歩にでて見つけたものだったり、どこの店の何がおいしいだったり、テレビのこの番組が面白いだったり…
他愛もない話もするようになってきていた。
メールだってその延長で、話が盛り上がれば何日も続くこともあった。
なのに。

この一週間、その頻度が激減した。

電話は一週間前に話したのを最後にかかってこなくなった。
メールは徐々に…だが確実に減り、返信速度が明らかに遅くなっている。
おかしい。こんなことはなかったのに。

『忙しいとか言ってたか…??』

思い返してみても思い至らない。
最初の2、3日は気に留めないようにしていたのに、ふとした瞬間に携帯を見ている自分に気づいてしまえばもう無視することができなかった。
気になって気になって仕方がない。
なんだこれ、
急に連絡を控えるようになった蒼樹にもだが自分のこの悶々とした気持ちにも福田は大いに戸惑っていた。
なんだ、これ。
これじゃまるで…

「福田せんせー!」
「うぉっ!?」

急に大きな声を出されて福田は飛び上がるくらい驚いた。
そういえば今は原稿の仕上げ途中で部屋には安岡がいたっけ…
そう思い出して音の発信源を見れば安岡が半目でこちらを見ていた。
負けじと睨み返す。

「急にでかい声出すなよ!びびるだろうがっ」
「さっきから五回くらい呼んでたんスけど…」

それはまったく気づかなかった。
う、とつまれば安岡がため息。
なんだこの野郎、安岡のくせに。

「ここのトーン、指定抜けてるっス」
「あ、わりぃ」
「あとこことここと、あ、ここも…」
「……」

さすがにやばいだろう自分、と自覚して福田ははぁ、とため息を吐いて天井を見上げた。
ため息を吐いたところで悶々としたものは減りやしない。
むしろ増えた。

「…先生」
「あ?」
「そんなに気になるんすか?」
「……っば!?何で俺が蒼樹嬢のことなんか気にしなきゃなんねーんだっ!」
「誰も蒼樹嬢のことだなんて言ってないっスよ」
「うっ……」

じーっと半目で見てくる安岡に何も言えずにいればため息が聞こえる。
なんだこの野郎、安岡のくせに…っ

「…先生から電話すればいいじゃないんスか?」
「…あ?」

気の抜けた声を出す福田に安岡はもう一度ため息。

「連絡が来なくなって、気になって仕方がないんでしょ?なら、先生から電話してみたらどうっスか??」

安岡の提案に福田は苦い顔をする。
こちらから電話を…と考えなかったわけではない。
しかしそうしなかったのにはいくつか理由があるのだ。

「それとも何か心当たりでも?」
「…いや」
「先生らしくないっスよ。ズバッとスパッと電話しちゃえばいいんス」
「…」

再び安岡の存在を忘れて思考の世界に旅立とうとした、その矢先、

「案外、蒼樹嬢も先生から電話してもらえるの待ってるのかもしれないスよ?」
「なっ…!?」

不覚にも動揺してしまったらにやり、と安岡が笑った。
くそぅ、安岡のくせに……っ!!

「〜っだっ!かっ!らっ!気にしてねーって言ってるだろ!!」

ガッシャン、とわざと音をたてて携帯電話を引き出しにしまった。









安岡が帰って仕事場に1人。
ああは言ったもののやはり気になって、早々に携帯電話とにらめっこしている自分がいる。
どうも落ち着かない。
蒼樹嬢との電話やメールがこんなにも自分の日常に組み込まれてしまっているなんて、知らなかった。
無くなって初めて気がついた。

こちらから電話を…と思わなかったわけではない。
だがいざ電話をしようとすると躊躇ってしまうのだ。
電話をしても忙しかったならどうしよう、とか。
うざいとか思われてたらどうしよう、とか。
もしかしたら自分以上に蒼樹嬢が話をしたいと思う相手ができたんじゃないか…とか。
そう考えると胸が痛んだ。

なんだこれ、むかつく。
『先生らしくないっス』
安岡の言葉が蘇る。

「〜〜だーーっ!もうめんどくせー!!」

福田は完璧にキャパを越えた。
勢いよく携帯をつかみ、迷いなく呼び出した名前は『蒼樹嬢』
そのまま通話ボタンを押せば呼び出し音が鳴る。
3コール目が過ぎたぐらいから落ち着かなくなってきた。
5コール目が終わったときには勢いは萎え、次で出なかったら切ろう…そう思った矢先。

『……はい』

一週間ぶりに聞こえた声に心臓が跳ねる。

「……よぉ、蒼樹嬢」
『こんばんは、福田さん』

やばいやばいやばい…
福田は胸を押さえる。
なんでこんなに嬉しいんだろう、声を聞いて、名前を呼ばれただけなのに。
顔がにやける。
胸が温かくなる。
一週間の苛立ちやもやもやが嘘のように晴れていく。

「ご無沙汰だな。忙しかったのか?」
『はい、少しですけど…。…あの、福田さん』
「ん?」

彼女の声が耳元で震えた。
聞こえてきた言葉に自分の心配していたことが全て吹っ飛んでしまった。
心の片隅で安岡に感謝する。
くそぅ、安岡のくせに……


顔が見えないのにまるで花が綻ぶように笑うのが容易に想像できて、
今度は目の前でその笑顔を見たい、と思った。
つまりは自覚した。

『福田さんからお電話していただけるなんて思ってなかったので…。私、今すごくすごくすごく、嬉しいです』

いつの間にか、こんなにも自分は彼女を好きになっていたのだ。










『蒼樹さん、うまくいきましたか?』
「はい!福田さんから電話がかかってきました!」
『ほらっ!押してダメなら引いてみろ作戦、的中したでしょう?』
「本当に効き目があったみたいですっ。私も一週間、我慢するのは大変でしたが…」
『その分、電話がかかってきたときの嬉しさは倍増ですよね!?』
「はいっ!嬉しくて嬉しくて…。思わず福田さんにもそう伝えてしまいましたっ」
『え……え!?』
「電話していただけて本当に嬉しいですって…。福田さんは驚いていらしたみたいですけど。何言ってんだ、って言われてしまいました…」
『そうなんですか…(蒼樹さんって意外に天然なんですね…)』
「あ!それでも!今度食事に誘われたんですよ!!!」
『よかったじゃないですか!!大きな一歩ですね!!

思った以上に簡単にかかってくれましたね、福田さん…。まぁ、蒼樹さんの天然っぷりには歯が立たないでしょうけど…』
「?何かおっしゃいましたか?」


見吉香耶先生(とアシスタントの安岡くん)の恋愛レッスン、ひとまず大成功。











香耶ちゃんが蒼樹さんに恋愛テクを教えているといい。
それを安岡くんが間接的に補佐してればいい。
蒼樹さんは時々先生の予想を越える大胆な行動にでるといい。
そして福田さんは見事にそれにはまっていればいい。
そんな妄想を形にしてみました(笑)
基本的に安岡くんは(福蒼に関しては)大人だと思ってます。








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