簡単に帰れる方法を探すって言ってみたけど、手がかりもなんにもないこの状況はどうしたものか。と、二匹がまだ寝ている朝方に考えて、とりあえず行き着いた結論はこうだった。
「虱潰ししかあるめぇよ。」
「「虱潰し?」」
「そうそう。こっちには君達に似たような感じで過去とか行っちゃったりする漫画…、…物語的なものがあってだな。 まあ、所詮物語なんだけど手がかり何もないし、そういう可能性とかから調べみてもいいんじゃないかと。」
そう言ってから、テーブルの上に買ってきたばっかりの男性用の服を置いた。…男性用下着を買うのは、本当大変だったけど。
「さて、モフらせろ!!」
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「買ってもらったお返しがあんなのでいいの?!」
「いつもとあんまり変わらない気がするけど…。」
「いや、むちゃくちゃ癒されたから。ありがとうございます。」
服と等価交換で今まで以上に撫でくりまわさせてもらって、私はもう大満足だった。が、まだ納得いってないような二人がトボトボついてくるので、引っ張るように二人の手を繋いだ。
「そんな顔しないで、先に思い出しなさい。ほら、こっちに来たときに一番最初にいた場所。」
テクテクと近所を歩く。まずは私の中で最初に浮かんだ案でいこうと決めた。
「あのときは俺も兵助も必死だったし、あんまり覚えてないかも…。 その場所に行ったら帰れたりする?」
「犬○叉って物語は、井戸で過去と未来を行き来してたんだよ。だから、井戸の代わりになるような物があったらいいなあって。」
まあ所詮漫画だし、そう簡単にいくとは思ってない。まあ、人に戻った状態でスーパーぐらいしか行けてないし、二人の気分転換にもなるかなあとかもちょっと考えてた。…一週間ちょいずっと一緒にいるからね。情ぐらい移るさ。
「まあ、散歩だと思って気楽にね。私も運動不足だったし。」
「……嵐ってさ、本当…。なあ、勘右衛門。」
「そうだよなあ…。」
なんか二人が私より一歩先を歩き出して、意味深げに目配せし合う。すると手をグッと固く握られた。…な、なんだ、なんだ。
「本当、嵐って騙されやすそうだよね!」
「え?いきなり何さ。」
「人が良すぎるって事。」
そう笑いながら二人から言われて、一瞬ぽけーっとしてたら、手を引っ張られた。
そのまま…
「え。」
「「運動不足なんでしょ?」」
「っひ…!無理無理無理無理無理ーー!!!」
ギリギリ足がもつれない程度の速さで走らされる。
私の手を握る二人は、全然余裕そうだけど(忍者だから当たり前か)、私は早くも一つ目の交差点を通り過ぎた時点で限界に近い。
「今日っの…もっ…目的は…!…こんな…事じゃないだろぉおお!!離せえええ!!」
本日の収穫は、二人のめっちゃいい笑顔と私の筋肉痛。手がかりは今だ白紙、也。
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