今日一日ほど濃い一日はないと思う。
缶ビール片手に濡れた頭を拭いて、キッチンから部屋を見ると美味しそうに豆腐とスナック菓子を食べる二人が見える。

はて、どうしてこうなった。

可愛い黒猫を拾ったら、その二匹は猫ではなく男の子で。しかも普通の子じゃなく忍者ときたもんだ。

グイッとビールで喉を潤し、息を吐く。暫く時間が経つと実感は湧いてくるってこういう事なんだろうか。…どうにもこうにも腹を据えなければ。

「よっこいしょー。」

「…あー…もう。」

「本当に…。はあ…。」

「え、なんでそんな哀れな目で私見られてんの?」

部屋に入り、ベッドに腰掛けると二人から視線を受けて首を傾げる。すると彼らはため息をついた。猫姿なら可愛いのに、今の姿じゃなあ…。早く猫に戻らないかな。

ボーッとしながら、またビールを一口飲むと兵が口を開いた。

「居候させてもらってる俺達が言う事じゃないけど…、年頃の娘がそんな格好で…」

「Tシャツ短パンはこの時代では当たり前だよ。」

「…何かするわけじゃないけど俺達一応男だし、少しは危機感持って……」

「そんな、かなり年下の子に何言われても…」

「「え?!」」

「え?」

バッとこっちを向く二人に驚き、肩が少し浮いた。え、お前ら私の事何才だと思ってたんだ。

「君達14才でしょ。」

「あ、うん。」

「そうだけど…。」

「で、私は、…ごにょごにょ(小声)
…ほら、遥かにお姉さ「「えぇええ?!」」

顔を近づけて言ったもんだから、二人の声がそのまま耳に響く。キーンってなって、暫く震えた。やかましいなあ、もう。

「嘘だ…てっきり、17、18ぐらいだと…。」

「…いやいや、兵?私これでも老けて見える方だから。ティーンはあり得ないから。」

「じゃあ!嵐、行き遅れだ!」

「この晩婚化なご時世、私の年はまだまだなんだよ。明日の飯は無いと思え。」

「え?!わー!!!嘘嘘嘘!!!」ポン!


そういうとやっと勘は猫になってくれた。うん、やっぱりこの姿じゃないとなー!
兵はまだ信じられなさそうにこっちを見ているけど、勘の下顎を撫でてスルーした。

…この子達の時代が老け過ぎなんだ!って考えると、過去未来も老け方変わらないし。もしかしたら彼らは、また別の次元から来たんじゃ…とか難しい事考えようとしてやめた。

私もお腹すいたしね。先、ご飯だ。




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