中編 (沖田総悟) | ナノ





あれから月日が経ち、気付けば
私が真選組に入隊して1年が経とうとしていた。



「オィ!苗字っ!苗字はいるか!!」



食堂にて副長、土方十四郎の叫び声が響く。




『何ですかー、副長(マヨ)』



面倒臭そうに名前が冷蔵庫を開ける土方の元へと
向かう。



「副長と書いてマヨと呼ぶな、マヨと。
つーかお前、俺のストックしていたマヨ使ったろ!!
いいか、あれは俺が...」


『失礼なこと言わないでくださいよ。
女はカロリーを気にする生き物なんですから
マヨネーズのストックなんて使い切る訳ないじゃ
ないですか』


「お前、いい時だけ女を強調してくるよな」


『ってか絶対それ、総悟の仕業だと思いますけど?』




いつの間にか名前は、嫌っていた沖田のことを
名前で呼ぶようになっていた。



『ってことで、これから私は見廻りがあるんで
これで失礼しますねー』



「オィ苗字!話はまだ終わって...」



土方が呼び止めるも名前は気にも止めずに
スタスタと歩いて行く。




そして.....





『ねー、あんたのせいで変なとば散りが来たん
ですけどー』




庭の茂みに身を隠し、土方の写真を貼り付けた藁人形に
五寸釘を打つ男の姿が。




「それは悪かったな」


『てかそれ、気味が悪いから辞めようよ。
本当怖いから; 』



「名前も一緒に打ってみるか?」


『遠慮しとく』


「マヨネーズのストックも始末したし、五寸釘も
打ったし
これで副長の座は俺のもんでィ」


『そんなんで副長になれるなら真選組は副長まみれだよ; 』


「何でィ。
本当は、お前だって副長の座狙ってやがるだろィ。
あ、これちょっと持っててくだせェ」



沖田は藁人形を名前に預けた。



『あんたどんだけ副長に恨み持ってんの;
釘打ち過ぎだよ;
てかさ、私は副長の座なんていらないよ。
あんな激務に耐えれるのは、あの人くらいでしょ。
あ、でも.....きっと手当て額とかいいんだろうな』


「役職手当の額が隊長とは違うだろーな」


『今度、土方さんに団子500個くらい奢って
もらおう』


「女はカロリーを気にする生き物じゃなかったのか
苗字、」



低い声が背後から聞こえ、名前が振り向くと
そこには青筋立てた土方が仁王立ちしていた。



『あ...あははははは;
部下の冗談を受け止めるのも上司の仕事ですよ』


「冗談は受け止めてやるが、世の中には
受け止めれない冗談もある。
その手に持っているものは、何だ」


『え?』


ふと自身の手元を見ると、そこには沖田が預けた
藁人形が.....



『いやっ、これは総悟が!ねっ、総悟』



だがそこには沖田の姿はなく、五寸釘と金槌だけが
転がっていた。



『総悟ォォォォォー!!!!!!!』




屯所内に名前の怒鳴り声が響いた。



その後、あれは名前へのプレゼントだという
沖田に激怒したのはいうまでもない。






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