中編(斎藤一) | ナノ





翌日の朝。



『ーーーーー本日からお世話になります。
改めまして苗字名前です。
御無礼多々ありますが、よろしくお願いします』




屯所へと来た名前は、深々と頭を下げた。




「うむ。
こちらこそよろしく頼む。
何せよ隊士の数が増えたもので、色々苦労を
かけてしまうかもしれんが、頼むよ」



近藤の言葉に返事をするかのように、名前は笑顔を見せた。




「っでトシ、名前君の部屋はどうなった?」


「あぁ、その件についてなんだが....斎藤の隣の部屋を
使ってもらうつもりだ」


「何でだよ、土方さん!!!
俺の隣だって空いてるんだぜ!何で一君の隣なんだよ!」


「残念だったな、平助。
だが土方さん、俺の隣も空いてるぜ?」



藤堂と原田が納得いかない様子で物申す。



「お前らな........;
あぁ、それと屯所の案内も斎藤に任せるつもりだ」


「だから何で一君なんだよ!
俺だって今日、非番なんだぜ!
なぁ、いいだろ土方さん!!!」


「つーか斉藤は今日、非番じゃねーだろ?
だったら誰がやっても同じだ。俺に代われ」


「左之、それは直接、副長に言ってはどうだ。
俺とて自ら仮出ている訳ではない」




表情一つ変えずに斎藤が口を開く。




「なんだよ!なんだよ!
俺なんて朝から巡察だぜ!!俺だって案内とか
案内とか案内とかしたかったのによォ!」


「新八っつぁん何回案内って言うんだよ; 」


「僕も朝から巡察だなぁ」



そんな幹部隊士のやり取りに、額に青筋がいくつも浮き出る土方。



そして.....



「うるせェェェー!!!!」




土方の怒鳴り声が部屋中に響く。




「お前ら自分の胸に手を当てて、よく考えてみやがれ!」



一行は黙って土方に言われた通り、自身の胸に
そっと手を当てた。




「いや.....考えても分かんねーよ!」


「いいか斎藤、俺と代われ」



「馬鹿かお前らは!!!
平助、原田よく聞け。
まず平助の隣の部屋にしてみろ。
お前の場合、深夜だろうと御構い無しにコイツの部屋に行って雑談してそうだからな。
それに案内は、お前に任せたら危なっかしいからよ」


「危なっかしい?」


「あぁそうだ。
お前どこに何があるか明白に覚えてねーだろうが。
そんな奴に案内なんざ任せれる訳ねーだろうが!
そして原田!
お前の場合、いつ何時口説きにかかるかもしれねェ」


「まぁ、否定はしねーよ。
つーか口説くのは別にありなんじゃねーのか」


「ハッキリ言うと色恋沙汰なんざどうだっていいんだよ。
ただ、初日っつー事もあるし今日は控えてくれ。
何せよ、ここは斎藤が適任だと確信した」


「まぁ、確かに。
斎藤なら間違ったこと教える事もねーし、口説きにかかる
事もねーもんな」


「新八っつぁんは黙っててよ!つーか巡察の時間だろ!」


「おぉーっと、いけねェ。
じゃぁ俺は、ちょっくらいってくるか」


「僕も行くよ」



永倉と沖田は巡察のため屯所を後にした。



「じゃぁ斎藤、後のことは頼む」


「承知しました。
ーーーーー ついて来い、」



斎藤は静かに口を開くと立ち上がり部屋を出た。






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