零崎刹識の人間刹那 | ナノ

第十二章









輝識「おや、お帰りなさい。」
友「うにー。お帰りなんだねっ!」


家に帰るとそこには、視界に入ると目が痛くなるような青色の少女―――玖渚友と、それを相手している輝識がいた。
けど、それだけじゃない。
よく、部屋を見渡すと2人もいた。


僕「お邪魔してます。」
小唄「お邪魔していますわ、お友達。」


欠陥製品こと戯言遣い―――いーちゃんに、人類最強と渡り合える実力の持ち主、大泥棒―――石丸小唄。
この3人が何故ここにいるのだろうか。
私にはわからなかったが―――


友「せっちゃん、用があるのは僕様ちゃんだよっ!」


この一言でわかった。
いーちゃんは友の付き添いで此処まできたんだろう。
小唄は多分いーちゃんに使われたのだろう。
そうなればこの3人がここにいる理由もわかる気がする。


刹識「それで、友は何の用だい?」


そう聞きながら輝識の隣に座り、友と向き合う形になる。
友が此処まで出向いてくるなんてよっぽどのことなんだろう。
輝識も聞く体制になった。


友「実はね、華雅椿姫について重要なことがわかったんだ。」


私たちは息をのんだ。
敵についての情報は、何一つ持っていない。
だから、相手が裏世界のどの殺し名、呪い名に属しているのかもわからなかった。
一つでも情報が欲しかった今、嬉しい知らせだった。


友「あのねー、彼女は天吹の分家の生き残りだよ。」
刹識「天吹の分家って言ったら…祭奏?」


そう言って思い出す。
祭奏は確か、小規模の掃除人の家系で、つい最近どこかの戦争に巻き込まれて消滅したと聞いた。
まさか、華雅椿姫―――祭奏椿姫が生きていたなんて。


友「それにね、弟の祭奏朱鷺夜ってひとも生きているみたいなんだよねー。」
輝識「案外厄介だな。」


けれど、待てよ。
魑魅魍魎の区画は管轄外のはずだよな?
どうやってここまで調べ上げたんだ?


友「《黒雀》だよ。」
空識「黒雀?」


今まで棚の整理をしていた空識が聞き慣れない単語に反応した。
空識も京織も霊夢も、裏世界の住人でありながら黒雀のことを全く知らない。


刹識「こっちの世界で言うヴァリアーのことだよ。聞いたことない?」
輝識「でもなんで奴らが。」


こんな情報握ってるんだろうか。
黒雀はあまり関与してこないはずだが。
私が動いているからだろうか?


友「黒雀ではなく、ヴァリアーに所属してるらしいよ、祭奏の姉弟。」
刹識「へぇ、だからか。」


さすが黒雀。
裏世界一の情報屋。
ちぃくんも実は黒雀の一員なんだから、黒雀が凄いのは当たり前か。


友「黒雀にはこれからも情報提供をお願いしたよ。」
刹識「ありがとう。じゃあ、友。これからもよろしく頼むよ。」
友「あいあいさー。わかったんだね。」


そう言って、嵐が去ったように友たち3人は帰って行った。(小唄のヘリコで。)
情報が新しく手に入った。
掃除人、天吹の分家―――祭奏。
どんな戦い方なのかは全く知らないけど、大丈夫。


輝識「俺たち家賊は無敵の家賊だもんな。」
刹識「そうですね。」


なにがともあれ、一歩前進しました。
必ず、目覚めさせて見せます。
待っていて下さい、黎織―――















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