零崎刹識の人間刹那 | ナノ

第十二章









輝識の戦線復帰―――それは相手に大きな混乱を与えられるかもしれない。
そう思い、今に至る。
今日はまだ本調子ではない輝識を学校に入れるわけには行かないから、まだ私たちだけで行動している。
相手も動かない、当然こちらも動かない。
どちらも防御体制の今ならば、なにも起こらないだろう。
ただ、相手に目立つような行為をするとすぐにバレるだろうから、そこに気を配らなければならない。
かといって、


刹識(馴れ合うつもりもなかったのだが。)


今現在、3時限目の体育の授業。
授業内容、チームバレー。
私のチームは人識に蜘蛛織、京織に空識そして何故か、椿姫と獄寺と山本の七人になった。
入れる気にはなかったがメンバーの人数上、こうするしかなかった。


獄寺「誰が協力なんかするかよ。」


その言葉に山本も頷く。
こっちこそそんなん願い下げだ、と人識がつぶやいた。
空識と京織は嫌そうに獄寺と山本を睨んでいる。
蜘蛛織は私にくっついて、何かを待っていた。
そこに、あいつが来た。


椿姫「2人とも!協力して戦いましょうよ!私たちは仲間なんですからっ!」


華雅椿姫、奴は最も忌むべき存在だ。
奴が黎織を意識不明に陥らせ、輝識を動けなくさせた張本人。
直接手は下さず、糸で操っているような人たちを自分の手駒のように使い手を下す一番最悪な奴。
傍にいる蜘蛛織は仲間なんかじゃありません。気持ち悪い、と心底嫌そうにつぶやいていた。
結局、この雰囲気を見かねた教師がチームを変えて授業を再開した。
最初からそうすればこうならなかったのに、バカな教師だ。


蜘蛛「きもかったです!」


応接室に入って一言目がそれだった。
その言葉に心底嫌そうに顔を歪める霊夢がいた。
仕事の邪魔をされたので、当たり前の反応だった。


霊夢「…お疲れ様。キモかったのはわかるから、仕事の邪魔しないでくれないかな。」
刹識「わかってるよ。」


と応接室でそれぞれが違うことを始めた。
全員が静かに作業しているため、霊夢は仕事に戻った。
人識は自分のナイフを磨いていて、蜘蛛織は糸の手入れ。
京織は本を読んでおり、空識は応接室の整理を始めた。
私はいろいろな考え事をしていたが、ふと聞き覚えのあるメロディーが耳に入った。
家からの着信音。
全員がこちらを見つめ、何かわからないのででてみる。
電話主は、舞織だった。


『もしもーし。刹識お姉さんですかぁ?』


間抜けた声が聞こえた。
舞織は身体の都合上、一緒に学校に通ってはいない。
一応、罪口の積雪の方に義手をもらって人識のジグザグでつけてはみたんだが、しばらくは普通の生活に慣れるまで学校には通えないだろうという判断で輝識と一緒に留守番を任せている。


刹識「何かあったの?」

『いえ、刹識お姉さんに用があるというお客さんが3人来ていましてねぇ。』


私にようとはどういうことだろうか?
何かしただろうか。


『今、輝識お兄さんが相手をしているんですけどぉ』

刹識「どんな人たち?」

『えーと、青い髪の女の子が1人―――』

刹識「すぐ帰る。」


それだけ聞くと、電話を切った。
みんなが口々にどうしたと聞いてくる。
私は帰る準備をみんなに促すと、伝えた。


刹識「友たちが、家に来てる」











<<back>>