「うそつき………」
「嘘は吐いてないでしょ」
「痛いなら痛いって言ってって言ってくれたのに……わたしが泣き叫んでも無理やり押さえつけて……」
「ほら痛いなら辞めるねとは言ってないから」
「ひどい……人を安心させておいて……」
「名前ちゃんも大丈夫って言ってたじゃん。最中は」
「だいじょうぶじゃなかった」
「知ってたけど」
「知ってたのに!?」
「大丈夫じゃない子が大丈夫って言うのにぐっとくるんだよね」
「何それ……こわい……」
「名前ちゃんだけだよ」
「ん……っ、」

「風呂溜めてくるね」
「おふろ?」
「終った後は一緒に入るんだよ普通は」
「そ、そうなんだ……」
「ちょろいな」
「何か言いました?」
「いや何も」

「幸せだなあ」
「ん?」
「何だか普通の女の子になったみたい」
「名前ちゃん変わってるからなァ」
「変わってはないですよ」
「いや変わってる。だけど普通の女の子だよ」

「わたしは友達もいないし、家族もいない。全部失ったけど、だけど幸せ。ぜんぶあなたのおかげです」
「んな大ゲサな」
「沢山いろいろなものを貰ったから、何か返したいくらいです。けど返せないくらい、沢山もらってるからどうしよう」
「一番欲しいもの今日貰ったし、いーよそれで」
「よくないですよ!!!たいしたものではない!」
「たいしたものだよ」

「名前ちゃん」
「はい?」
「おいで」
「ん、」
「これも成長だなァ」
「え?」
「名前ちゃん、前はおいでって言っても絶対断るからさァ。靴がないとかわけわかんねーこと言って」
「スリッパじゃあ飛べないですよ」
「飛べるって。裸足でも何でも。俺に捕まってれば大丈夫。地に足つける必要なんてないよ」
「………」

「ホークスさん」
「ん?」
「結局、キスマークってどう隠せばいいんですか?」
「………そういうとこだよ」
「え」

(180930)