君と俺と泣き虫仔牛


そして坊やは眠りについた
息づく 灰の中の炎
ひとつ ふたつと
浮かぶ膨らみ
愛しい横顔
大地にたるる幾千の夢
銀の瞳の揺らぐ夜に
生まれ落ちた 輝くお前
幾億の年月が
幾つ祈りを 土へ還しても
私は祈り続ける
どうかこの子に愛を
繋いだ手にキスを





聞こえてきたのは聞き慣れない子守唄。
何時もの如く学校にやって来て、行方知れずとなったランボをあの自称家庭教師に言われ、「何で俺が…」と悪態をつきながら渋々探していた時のことだった。

その歌声に惹かれる様にそちらへ向かえば、其処は夕日によって紅く幻想的に輝いている屋上だった。

唄い人は、眠りについているらしいランボを膝に乗せ、優しくその背中をゆったりとしたリズムで叩く神城で。

その様子はとても神聖で神秘的で、その表情は酷く優しく、そして何故か涙が出るほど儚かった…。













―君と俺と泣き虫仔牛―


夕日に映える唄う彼女は、とても美しく、哀願する様な歌声は子守唄のはずなのに、まるで鎮魂歌のように酷く哀しい余韻を残して赤い大空へと消えていった。






※D.Gray-manの挿入歌を使わせていただきました。


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