私が此方に来て、もう12年…。
忘却の彼方へ殆ど消え失せた記憶を手繰り寄せる…。



「…もう直ぐ………か…」



本来の道筋通りならもう直ぐ、彼の運命が始まる。



（“此処”の沢田君はどうするんだろ？）



本来の“彼”に比べれば、何ともボスに相応しい“此方の”彼。
笑顔の裏で悪態を吐く彼はこの6年と少しを見てきて、本当に面白かった…。

というか…



（詐欺でしょ…あれ………）



“あちら”の彼と違い、何でも器用にこなせる“此方の”彼。
あれでダメなんて言われているのだから詐欺以外の何者でもない…。


まぁ、



（仕方なかったんだろうけど…）



察するに、それ以外身を守るすべが無かったのだろう。
…………実際がどうかは知らないが…。


まぁ…



（私には関係ないか…）











―私と貴方と私の秘密―





だって私は傍観者。


















※ヒロインはトリップです！