君と俺と俺の思い


・私と俺との日常番外編
(出逢いのその後)



―君とオレと俺の思い―  







「なんだよ。 アイツ…」



ゴミ箱を持っていった神城の行動の意図が読めない。
ここでダメツナなら神城を追いかけるべきだが、生憎と俺にその気は無い。



(そもそもアイツには関わりたくないんだよ…)



別に暗いとか、気が可笑しいとか、虐められてるとかでは無い。
寧ろ性格は明るいし、頭は良いし、容姿も悪くはない。

正にダメツナとは真逆。
ある意味ではダメツナの理想とも言える。
読心術が効かないのだって、別に大した支障は無い。

けど…



(アイツは何か隠してる…)



全く持って便利だが迷惑な血が教えてくれる違和感。
アイツは…神城は普通だが、普通じゃない…。

矛盾しているのは分かっている。
けれど、アイツを正しく表現するにはそれが一番だと思う。



(俺を見ている時だけ、雰囲気がガラリと変わるし)



俺を観察しているような、探るようなあの視線。
俺に関わるときだけ、明らかに変わる同年代とは違う異質な雰囲気。

種類は違うが、まるで俺のような異端な存在。

けれどその視線も雰囲気も悪いものでは無くて、寧ろ俺に対して好意が在るような(どういった種類の好意かは知らないが…)種類のもの。



「………俺だって、ガキ臭い同族嫌悪だってことぐらい分かってるんだ」



ボソッと小さく呟く。
俺以外、誰の耳にも届かないような小さな声…。
けれど、それは真実として俺の心に突き刺さる。

俺が一人、嫌いだなんだ言ってるだけで、別に神城に何処か悪い所が有るって訳じゃないし、どちらかと言うと俺を悪い意味では無く気にしていて、寧ろ良い所ばかりだと思う…。

…それに……



(嫌いというよりも、苦手って方がしっくりくる)



そう考えて、俺は苦く笑う。
全く持ってこのオレが一人の女に情けない。



「ちょっとは苦手意識の克服に努めるか…?」




苦笑して空を仰ぐ。
夕焼け色の空を目にした俺は、その穏やかな色にやられたのか、それとも神城に対して吹っ切れたからなのか、なんだか暖かい気分になっていた。










―君と俺と俺の思い―





「まずは明日、礼でも言ってみるか」







翌日、予想通り昨日神城が持って行ったゴミ箱は教室の角に置かれてあった。







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