妖しく、しかし楽しげに笑う白蘭を前に、向けられた銃口にここまでだ、と目を瞑る。
しかし一向に痛みも、銃声も襲ってこない。
それに疑問を持ち、伏せていた瞼を上げれば真っ先に目に入ったのは白蘭と俺の間に居る存在。
「蓮…?」
「ただいま…。綱吉君」
「蓮ッ!?」
思わず叫び、白蘭の前だというのにも関わらずその華奢な身体を抱き締めた。
「馬鹿ッ!馬鹿蓮!!
お前、俺がどれだけ心配したとっ!」
「あー…。
お小言は後で聞くから!
白蘭…」
「!」
そうだ俺は何をやっている。
今目の前に要るのは蓮だけじゃない。
敵である白蘭だっている。
守らなくちゃッ!
蓮だけはなんとしても…っ!!
けど、何でだ?
何で白蘭は…
(何も、してこない?)
「感動の再会は終わった?」
「まだ、」
「えー…、僕は綱吉君とイチャついてる所なんて見たくないんだけど…」
「なら隣の部屋貸してよ」
「え?
隣の部屋って…、ベッド無いけどいいの?」
「何言ってるの白蘭ッ!!?
ちょっと、怒るよ!?」
「ヤダなぁー、軽い冗談なのに。
…………もう怒ってるじゃない…」
話についていけない。
何故蓮は白蘭と親しげに会話している?
何故白蘭はあんな慈愛に満ちた目で蓮を見ている?
「分からないって顔だね、綱吉君♪」
「白蘭…」
「簡単な事だよ。
はい、蓮ちゃん自己紹介」
「えぇーーーっ!!?」
「文句は無しだよ♪」
「む、…えっと綱吉君?
えぇーと…、取り敢えず久し振り。
その、白蘭の言った自己紹介の事なんだけど…。
…………こ、こんにちは?
白蘭の“義妹”の神城蓮で…
「“義妹ッ!!!?”」……義妹です…」
申し訳なさげに下がる眉を気にする余裕もない。
取り敢えず蓮に怒鳴りたい。
「おまッ…、どういう事だよ!!」
「私の所為じゃないよ!!?
あの紺色ナッポーの所為だからねっ!?」
「何で骸だよッ!!?」
「あのナッポーが脅すから!」
「意味分かんねぇ!」
「これで分かったら逆に凄いよ!」
「まぁまぁ落ち着いてよ二人共。
つまり全部骸君の所為だってことだよ」
「「何で白蘭がまとめてるんだよ/のよ!!?」」
「もう我が儘だなぁ〜。
ちょっと正ちゃん、ボンゴレからの迎えくるまでこの子達さっさと隣の部屋に押し込んでよ」
「また、僕ですか…」
ハァ…、と溜め息を吐いて、正一が俺と蓮を部屋から連れ出す。
抵抗してみるも、蓮まで正一に加勢しているため手荒には出来ない。
それが災いして、部屋を追い出された俺が最後に目にした室内では、「ごゆっくり〜」なんて動いている口元で、嫌味だ!と思いたくなるような おもいっっっっきりいい笑顔を浮かべる白蘭の姿だった。
―君と俺と戦場の再会―
(おいコラ!説明しやがれ白蘭!!!!)
(綱吉君うるさい!
ちょっとは静かにしてよ!
近所迷惑!!)
(ここの何処に近所があるんだよ!)
(じゃぁ、正ちゃん迷惑!!)
(あ゛ぁ!?)
((ヒィーーーッ!!!
何言っちゃってんの蓮さん!?))
後書き
哀れ正一青年。
綱吉がスレている以上、生粋の不幸キャラは彼しかいないだろう…。
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