私と貴方と私の兄





「あれ、これ…」

「ああ、“REBORN!”?
そう言えば蓮好きだったっけ?」

「え?
寧ろ初めて知ったよ?」

「………あんた二週間も行方くらませておいて、次は記憶喪失?」

「いや、本当に知らないんだって…」




呆れた、というか、何かこう生暖かい眼差しの若菜にちょっと心が傷付いた。




「マンガにあんま興味ないあんたが、珍しく面白いってハマった貴重なマンガじゃない!
ツナが死んじゃっているって分かった時だって、おもいっきり顔顰めて「あり得ない…」て、身の毛もよだつような呟きを発してたし」

「身の毛もよだつって…。
というかツナ?」

「沢田綱吉!
このマンガの主人公で珍しくあんたのお墨付きのキャラ!
もう貸してあげるからもう一回読んで思い出しなさい!
気味が悪い!」

「その物言いは酷くないっ!?」




親友の余りにものお言葉にショック状態の私を無視して「分かった!?」と、念を押す若菜に気圧され頷くと「分かればいいのよ」とのお返事を頂いた。
それよりもレンタルさせられたマンガの多いこと多いこと。

読む前から何だか気疲れしました。





























―――――――――




「へぇ…確かに面白いやこれ」




朝に比べ一気に重たくなった鞄に肩を傷めながら帰宅した私は、気乗りしない思いで胡散臭げに一巻の表紙をぺらっと捲った。
けれどいつの間にかその内容に引き込まれ、気付けばそんな事を呟く始末。

…ごめん若菜。
はっきり言って侮ってたわ。

けど、…




「やっぱり読んだ記憶ないんだよね〜」




思い出せず、うんうん唸りながらページを進めていく。
するとどうだろう、………………とてつもなく見覚えのある方が…。




「蓮ちゃん♪
なーにしてるの?」

「うぐっ!」




グイッ、と後ろから首に腕が回り、そのまま後ろに引っ張られました。
結果。

首が締まった。
ついでに変な声も出た。




(ちょ、コイツ殺す気か!!?)
「首っ!首締まっ…」

「あ、ゴメンね〜」

(誠意の欠片も感じられない…っ!)




アハハと笑って離れたソイツを取り敢えず一発ぶん殴っといた。
「痛いじゃない…」なんて文句言ってるが自業自得だ!
本気で一瞬死んだ婆ちゃんと爺ちゃんに再会したんだから!




「自業自得って言葉知ってる? “白蘭”」






















―私と貴方と私の兄―





「“ビャク兄”って呼んでって何時も言ってるのに…」

「ちょっと、私の台詞無視?」





と言うより、貴方マンガに登場してましたよ。
…………しかも悪役で。






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