私と貴方と夢現つ


・君と俺との日常番外編
(夢から目覚めて…)


―私と貴方と夢現つ―






フッ…と浮上する意識。
目覚めた先は見知った自分の部屋の中。




「…ゆ、め……?」




呟いた言葉が広がり、部屋に霧散する。




(なんだろう?
まるで長い長い夢を見ていたような、この感じ…)

「おーい姉ちゃん?」

(この声…)

「いつまで寝てんだよ姉ちゃん!」

「希望…」




視線を巡らせれば、出入口の扉の前に佇む弟の姿。
どこか怒っているような希望の姿に、私は首を傾げる。




「希望?」

「全く、二週間近くも行方不明になって、帰ってきたかと思えば部屋でぐーすか寝てるし…」

「え、…?」

「どんだけ心配したと思ってるんだよ!!」




叫ぶような悲痛な訴えに、私は怪訝に思い、眉を寄せる。




「二週間も、…行方不明?」

「そうだよ!
一体今迄なにしてたん…
「希望こそ何言ってるの?
私は今日ずっと部屋に居たよ?」…は?」

「全く、何寝呆けてるのよ…」




疲れたように溜め息を吐き出した私を、希望は信じられない、と言った面持ちで見つめてくる。




「何言ってんだよ!
この二週間、部屋どころが家にすら居なかったじゃねーか!!」




そう詰め寄る希望に、私は呆れながらも答えた。










「だから…」



























―私と貴方と夢現つ―






「行方不明って、有り得ない」







驚愕に目を見開き、「記憶…喪失?」と、呟く希望に私は怪訝に顔を顰めた。


けれど、この時の私は知らなかったんだ…。


記憶を無くす意味を。
記憶を無くした経緯を。


そして…。


貴方を忘れることの結果を…。













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