「神城!」
学校からの帰り道、隼人、武と別れた俺は前方を行く神城を見付けて駆け寄った。
結局あの家庭訪問の後、リボーンの言う通り何故か俺の本性がバレていたのを理由に、神城の前では演技を止めた。
あれ程神城を嫌っていた俺だが、俺と同じリボーン被害を受ける数少ない常識人と知ってからは、嫌うどころか寧ろ好感を持つようになった。
今では、主にリボーン被害について語り合う良き理解者である。
「たくっ…、それでリボーンのヤツ…―」
「あぁ、それは大変だね…」
「というか、普通はあり得ないよね?」と、零した愚痴に当り前の正論だが、俺の周りでは決して誰もかけてくれないような俺の欲しい言葉をくれる神城に救われる…。
こんなことなら変な苦手意識持たないで、さっさと話しかけていれば良かったと思う今日この頃…。
「そう言えば私もリボーン君の所為で暴くn…コホン…雲雀先輩に絡まれたことがあったよ」
(今コイツ“暴君”って言おうとしたな…)
慌て取り繕う神城。
ばっちり聞こえたが恭弥には黙っててやろう…。
「ホント迷惑極まりないよねー…って沢田君?」
恐らく憐れんだ目でもしていたのだろう…。
「だって暴君じゃん」と開き直った神城。
…うん。
お互い苦労が絶えないな。
と、ここで別れ道。
何時もならここで別れるのだが今日は違う。
「なぁ神城、今日家寄ってけよ」
「じゃぁ!」と声をかけてきた神城の動きが止まる。
キョトンと首を傾げて俺を見ている神城の目は(一体コイツ今日はどうした…)と可愛らしい行動とは裏腹に何とも可愛く無いことを語っている。
うん。
コイツの心情察せるようになってきた。
まぁ、そんなことはどうでもよくて…。
「今日家、俺以外誰も居ないんだよ。
一人で食うのも外食も何だし…、家で食ってけよ」
「お前確か一人暮らしだろ?」と問えば、神城はそれはもうキラキラと目を輝かせてガシリッ!…と俺の手を両手で握り「行くッ!」と半ば叫んで返してきた。
何故こんなに過剰に反応するのか若干引きながら考えていた俺だが、「食費浮くぅ〜♪」と言う神城に納得。
一人暮らしの苦労に加えて何時もハチャメチャなリボーン被害…。
今度も誘ってやろうと決意した。
―君と俺との帰り道―
「お前…、ホントに苦労してんだな…」と俺が言えば、「最近は綱吉君のお陰で何とかなってるよ」と笑顔に加え、名前呼びというサプライズをくれた。
うん。
家についたら蓮と呼んでやろう。
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