「ひぃー…っ!
ど、退いて下さい!!」
「あぁっ!?
テメーぶつかっといて何様だ!!」
「ひぃーー!!」
(大変だな…)
図らずも遭遇してしまった場面に内心同情。
買い物帰りに出会ったのは、不良に絡まれているアサリ組の若様。
心底助けてオーラを放っているふりをして、心中では舌打ちでもしているのだろうと思うと思わず笑みが零れる。
「おい! 聞いてんのか!!」
「はいっ! ももも、勿論です…!!」
怯えた演技、を崩すわけにはいかない彼。
往来の激しい道でそんなこと出来る筈も無く………。
(……………助けるだけ…)
そう自身に言い聞かせ、スウッと息を吸い込む。
「風紀委員だぁーーーッ!!!」
思いっきり叫べば、ビクッと肩を震わした不良はそれはそれは素晴らしい動きで脱兎の如く逃げ出した。
演技ではないだろう、ポカーンと不良の去って行った方を見ている沢田綱吉に思わず薄く笑ってしまったのは仕方が無いと思う。
(さて、夕飯でも作りに帰りますか)
うん、いいことした。
と、上機嫌で帰路に着こうとした私に悪魔の声が聞こえてしまった…。
「おい待て。 ツナん家でメシ食ってけ」
―私と貴方とお買い物―
悪魔の囁きを聞き石化した私の状態は、この小さな悪魔に気付いた沢田綱吉の声を聴くまで続いた…。
(リボーン! どうしてお前が神城さんとっ!?)
(その演技止めろ…バレてるぞ)
(!?)
(逃げ出したい…)
※次回突撃隣の夕飯(笑)
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