私と貴方と天然少年


コツン…

なんて可愛いらしいものじゃない。
ガツンッ!と素晴らしい衝撃で空から私の頭上に降ってきたのは、校庭の土に汚れた白い半月体…。

球体なら私でも知っている野球の必需品だが、半月体のこの物体は初めて見る…。

断面なんてホントキレイだ…。


まるで何か鋭い刃物に切断されたみたいに…。



野球…
刃物………



(イヤ、止めよう…。
これ以上の接点は欲しくない!)



脳裏に浮かんだ某爽やか少年の像を振り払い、私はサボr…ゲフンッ、休憩の為に来ていた屋上から去る。



(触らぬ神に祟り無し。
厄介事には関わりたくない! よって長居は無用…)



けれど神は優しくは無かった…。



「よう! 神城!」

「……………………山本君…」



爽やかな笑みを浮かべ、颯爽と現れた少年に内心溜息。
そんな私の心を知らず、ニコニコと近付いてきた彼はちょっと困ったように微笑んだ。



「なぁ、神城。 半分に切れた野球の球見なかったか?」



「さっき屋上に居たよな?」そう訊いてくる彼に「何でそう思うの?」と問えば、「見えた」と眩しい笑顔で答えられた。



(見られたなら隠す必要はないし……、もう関わってしまった)



(もういいや…)と諦めた私は、何故か手放せなかった半月野球球を山本君に手渡す。
彼は「やっぱり拾ってくれたんだな」と一人納得し、「ありがとう」とお礼を言われた。

私がその言葉に「気にしないで」と応える前に…



「いやー、打席に持ってったバットが刀に変わってさー」



「参った参った」とにこやかに笑う彼に一言言いたい………。






―私と貴方と天然少年―




そんな危険なブツを校内に持ち込むなッ!!!



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