夜中にぱちり、と目が開いた。さっきまで夢を見ていたはずなのになぜか頭は冴えてしまっていて目を閉じることができない。別に昼寝したわけでもないし誰かに起こされたわけでもない。むしろ堺さんがいてぐっすり安眠!だったはずなのに。眠れなくなってもぞもぞしてたけど堺さんを起こすのも気が引けてベッドから抜け出た。


静かな部屋にぺたぺたって俺の足音が響く。キッチンにたどり着いてグラスに水を注ぐ。喉が渇いて仕方が無くて一気に飲み干した。もう一杯注いだところで寝室から足音が響いてリビングの電気がついた。


「起こしちゃいましたか?」

「ん、いや。俺も喉が渇いたから」


堺さんがこちらへと歩いてきて俺の持っていたグラスを取りそのまま飲み干した。堺さんの喉が動いて水が嚥下されるのを見つめる。堺さんの口の端から飲みきれなかった水が滴る。なんとなくそこに舌を這わした。


「ちょ、おいっ」

「ん、美味しそうだったから」

「っとにお前は・・・」


顎を掴まれてキスをされる。噛み付くようなキスってこういうことを言うんだとおもう。だって、俺いま食べられそうになってる。ギラギラの目をした肉食獣な堺さんに自分がどんどん欲情していくのがわかる。堺さんの首に腕を回してもっと、と深いキスをねだる。堺さんの口内は水で冷やされ熱いキスとのアンバランスな感覚が俺を支配していく。


「んっ・・ふぁっ・・・」

「恭平・・・」

「よ、しのりさん・・・ベッド、いきたい」


そういうかいわないかですぐさま抱きかかえられる。落ちないようにさっきより更に抱きついて堺さんとの距離は0になった。頬にキスを送ると煽んな、馬鹿と怒られたけどそんなの知らない。俺は今この人が欲しい。そう意味を込めてまたキスを送った。




まるで獣のように




110319
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