久々に試合で緑間っちとなまえっちを見た。
中学校の時より、二人は明らかに成長していた。
それは外見だけでなく、二人の間に流れる、雰囲気も。
「久しぶりッスね。」
『涼太!会いたかったよー!って言ったら征十郎に殺される。』
ってことはまだ続いてたんだ。
しかも、征十郎、って呼んでるんだ。
「相変わらずッスね。緑間っちも元気そうッスね。」
いや、むしろ見えなかった。
『あ!そろそろ試合始まるみたい!涼太!真ちゃんの勇士よーく見といてよ!すっごくかっこいいから!』
そう言い、なまえは緑間っちの腕を抱き、コートに走って行った。
そんななまえに対し、緑間っちは柔らかく笑っていた。
少なくとも、俺の知る緑間っちは、人前だろうと二人きりだろうと「離せ」という人だった。
緑間っちにとって、もうなまえへの想いは、どうしようもない所にいるのだろうなぁって思った。
そして、海常の試合は前半で終わったので、なまえっちに言われた通り、秀徳の試合を見ていた。
なまえっちを見ていたが、なまえっちはメンバーに対し気を遣い、働いている、と思う。
けれども、視線は全部、緑間っちに向かれている事に気が付いた。
彼女にとっては、無意識なんだろうなぁ。
第3クォーターが始まった時に、俺の横に誰かが座った。
「なまえもひどいよね。」
「!赤司っち!なんでこっちに...」
「ああ、なまえに会いに来たんだけど、あんななまえを見たらね、もうこの試合終わったら帰るよ。僕が来たことは、言うなよ。」
「......。」
「そんな顏するな。京都に行く、と決まった時点でこれは分かっていたからな。」
「...それでいいんスか。」
「いいわけないだろう。今だけだ、ああやってなまえが緑間のそばにいるのは。少しだけ、緑間に幸せな想いをさせてあげよう、と思うんだ。ほら、あいつずっとなまえの事が好きだっただろう。」
そう言いながら笑う赤司は凄く怖く思えた。
「...鬼畜ッスね。」
「知っている。ああ、でも僕の知らないところで、あんなことをするなまえには少しお仕置きをしなくちゃいけないかもな。」
ふぅ、と息をつく赤司。
「やっぱり、下に降りてなまえに会ってくるよ。」
その時、ちょうど試合終了のブザーが鳴った。
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bkm