「明日は部活休みですね。」
「ああ、久しぶりだな!テツ、どっかメシいこーぜ!」
「ずるいッス〜。俺も行くッス!」
「テツくんが行くなら私も行く!」
「いいねそれ。じゃあ明日は皆でご飯食べに行こうか。皆暇でしょ?」
「暇ではないが...時間が少しだけあるので行ってあげてもいいのだよ。」
「デザート美味しいところがいいな〜。」
キセキの世代+桃ちゃんは少し楽しそうです。
私も喉から手が出るほど行きたくてしょうがない。
だけども明日は嫌〜な約束があるし、断れない。
「おい、なまえ。さっきから何黙ってんだよ。」
「もしかしてなまえに限って行けない、とか言うんじゃないよね?」
何だ赤司様、なまえに限ってって。
『えーっと...明日は先にお友達と約束、があって...みたいな?』
「え、お前友達いたの?」
ガチで聞いてくる青峰っち、まじうぜえw
まぁ誘われたのは友達ではないがな。
遡れば今日の昼休みだった。
いつものようにお弁当を食べ終えた後、美月のクラスに向かい、キセキトークで花を開かせていたら、二人の前に学年で有名な可愛い系女子、リカちゃんに阻まれてしまった。
「ねぇねぇ、美月ちゃん。と、そのお友達。明日暇ぁ〜?」
二人ともリア充系やギャル系など現実のお友達と話すことに少したじろぐ。
ようはコミュ障である。
ちなみに二人の明日の予定はなまえが部活休みだという事だから久しぶりに池袋(乙女ロード)にでも繰り出そうと考えていた。
「あー...」
と美月は私に助けを求めるかのように目の合図をおくる。
『えーと....』
更に美月に目の合図を返す。
するとリカちゃんの後ろにさらに可愛い系の女子が2人やってきて、「どうだった〜?」とか聞いているし、後ろの男子共が「リカちゃんの誘い、断るわけないっしょ。」とか言うもんだから美月は力強く縦に振った。
それをみて私も『暇だよ〜』と軽く返した。
「やった!」
と両手を合わせる彼女は化粧は少し濃いと思われるが、男の可愛いと思うしぐさを熟知しているのか可愛く思える。
「あのね〜、実は明日の放課後合コンなんだけどぉ〜、5対5なんだけど人足りてなくて。暇なら来てくれない?」
合 コ ン
『....合コン?』
「そう!合コン!」
「...合コン、行ったことないんだけど。」
「大丈夫大丈夫!私たちも行ったことないし〜。」
絶対ウソだろそれ。
そしてそのままの流れで二人とも参加することになった。
日時は明日の5時に駅前のマジバらしい。
という事があった。
合コン行くから行けない、なんて言ったら間違いなく面白半分でついてこられるだろうし、というか自分何様だよな。
とりあえず黙っておこう、という判断にした。
なんとか断り、赤司くんも納得させ皆が体育館に向かった、と思ったら黄瀬だけが残っていた。
『どうしたの、黄瀬。』
「明日本当は何あるんスかぁ〜?」
『...まぁ黄瀬になら行っても害はないか。明日、合コン誘われたんだよ...。』
「え!!まっじ?!!誰と行くんスか?!」
『...ほら、可愛いリカちゃんといつも一緒にいる取り巻きと私のミーハー仲間。』
「うわー...リカちゃん可愛いけど、性格残念だよなー。しかもそれ、明らか自分より下の子選んで行くタイプッスね...。」
『...まぁさりげなくdisったよね。別にいいけども。』
「んー....っし!明日何時から?」
『5時だって。』
「じゃあ学校終わってすぐじゃないんスね!俺のヘアスタイリストさん貸してあげるッス!で、めっちゃ可愛くなって見返すとかどうッスか。」
『いいねー。それより早く部活行ったら?』
「うわー、全然乗り気じゃないッスね。でもこれはもう決定事項ッス。明日の放課後、そのミーハー仲間連れて部室集合ッスよ!」
それだけ言うと黄瀬は黄瀬は風のように体育館に向かっていった。
まじかよ、なんだかとんでもないことになりそうだ。
断ろうかと思ったが黄瀬ファンの美月がお話しできるいいチャンスだ。
日頃お世話になっている美月に感謝の気持ちを、と思い素直に従う事にした。
そして放課後、美月が騒ぐと思い黄瀬の件は言わずに部室を見学できると言えばホイホイついてきた。
扉を開けると黄瀬とスタイリストであろう人が色んな化粧品を広げて待っていた。
隣の美月を見ると一瞬固まったが、すぐに自然な笑顔をつくって頭をぺこり、と下げる。
「あら、二人とも素材いいじゃないの。よし、お姉さんの腕に任せて!!」
そう言うと、どんどんお姉さんの手によって綺麗になっていく。
普段全く化粧もしない私たちの肌はとぅるとぅるだ。
『あれ、黄瀬。バスケ部でご飯でしょ?』
「とりあえず赤司っちに遅れること言ったんでそこんところは心配ないッスよ〜。それに普段ズボラな女の子が変わるの見てみたいッスからね〜。」
『...そんなもん?』
それから30分がたった。
「かんせーい!!」
「どれどれ...」
ずっと私たちに背を向けてバスケ雑誌を呼んでいた黄瀬が振り返った。
「....うっわ!すっげー可愛いッス!!全然リカちゃんよりも可愛い!...こりゃ誰だか分からないかもッスね〜。」
美月は普段下ろしている髪をポニーにし、私は髪をゆるく巻いてウェーブにしてもらった。
美月は何か発したい衝動で震えているが、黄瀬の前なので少し震えている。
「どこで待ち合わせなんスか?」
「駅前のマジバです。」
おい美月、なぜ敬語だ。
「じゃあ俺も駅行くんで途中まで行く「それはダメよ、涼太。」...へ?」
スタイリストさんが間に入る。
「せっかく合コンにいくのにあんたみたいな目立つモデルと一緒に歩いてるところ見られたら終わりよ?」
「や、でも二人とも本気で出会い求めて合コン行くわけじゃないッスから...」
「それでもダメダメ!!」
そんなこんなで黄瀬は無理矢理剥がされ、二人でマジバに向かう事にした。
学校を少し出て歩いたところで美月が止まった。
「ちょっと!!黄瀬!!どういう事!!」
黄瀬がいなくなった途端これ、だ。
『はぁ...。言ってたらあんた絶対来なかったー。それにこっちは感謝の気持ちをこめてあんたと黄瀬を合わせて「あざーっす!!」....』
せっかく可愛い顔して、スカートも短くしてリボンも整え、可愛いJKなのにこれっじゃあ台無しだ。
『あのねぇ...あんな黄色いののどこがいいのよ。それよりやっぱ赤だよ、赤。』
「赤はぜってーねぇわ。」
『はぁ?!!....あ、時間やばい。』
「マジで。」
そして二人してマジバまで全力疾走した。
着くとリカちゃん、またその引き連れがすごい表情をしてこっちを見ている。
その後ろには有名な某おぼっちゃま校の制服を纏ったイケメン5人がいた。
男どもは合コン慣れしているせいか、私たちを品定めするように上から下までを目で動かす。
そして笑顔を向け、「可愛い子ばかりだね!」とリーダーっぽい人が声を上げる。
「で、でしょ〜?」
リカちゃんは笑っているように見えるが目は笑っていなかった。
そしてそのあとはカラオケに行くことになった。
さきほどのリーダーっぽい男とリカちゃんで話を進めていき、ついに自己紹介の番になった。
「はじめましてー。リカです!趣味は料理で..」
と女子力の高い自己紹介がリカ、またその他リカ友が話していく。
いよいよ美月の番だ。
「美月です。よろしく。好きな色は黄色、です。」
「なまえです。好きな色は赤色です。」
出来るだけ関わらないようにしてその場をしのぎたいと思い、冷たい口調で言ったつもりだったが受けがよく、男どもからの笑いを買ってしまった。
「今まで自己紹介で好きな色言う人なんて見たことないよ!サイコー!」
何がサイコーなのか分からない。
そして次は男どもの自己紹介が始まって行った。
続く>>