7. 秘めた恋

俺たちは皆、バラバラの高校に行った。
なまえはさすがに、いくら赤司と同じ高校がいい、という理由だけで京都に行くず、頭のよかったなまえは俺と同じ高校に進学することにした。

赤司はそれでも、頻繁に東京に来て、平日はマメに連絡をしていた。
それほど心配なのだろうか。
きっと赤司は俺がなまえを好きだという事を、とっくに知っていたのだろう。


なまえは秀徳のバスケ部のマネージャーになった。
高尾からなつかれ、宮地先輩達からも好かれていて、チームのかかせない存在だった。



帰路、なまえは電話をしていた。
おそらく赤司だろう。
後ろから見ていると、どうやら喧嘩をしているようだ。

『征十郎なんて嫌い!』そう言い、電話を切った。
いつからか、赤司くん、から征十郎に、呼び方が変わっていた。

俺は中学の時はあまり嫉妬しなかったが、今は、違う。
少しだけ、彼女に触れたい、という気持ちが大きくなっていた。


後ろから彼女に触れようとすると、彼女が泣いていることに気付いた。

『ひくっ..くっ..』

なまえは高校に来てから、泣くことが増えた。
皆の前では泣かないが、いつも涙の痕が絶えない。
彼女はメイクで隠しているようだが、なまえをよく見ている俺にとって、それは分かってしまう。


「なまえ、大丈夫か?」

『...真ちゃん....。』

「ん」
俺はなまえを抱き寄せた。

『真ちゃんっ...』

「..我慢するな、思いっきり泣いていいのだよ」
そう言うと、なまえは俺にすがりつくように、声をあげて泣いた。

『遠いよ...』

「...そうだな。」

するとなまえの携帯が鳴った。

「..赤司じゃないのか?」

『ん...もしもし?』


そして俺は離れて、練習に向かった。



それからなまえは今まで以上に俺を頼るようになってきた。
頼られることはすごく嬉しい。

今日もなまえは泣いたみたいだ。

「.....大丈夫か?」

『...真ちゃんには全部お見通しだなー!うん。大丈夫。あー、真ちゃんが彼氏だったらよかったのに!もう!征十郎は悪魔みたいなんだもん!』

「ならば付き合うか?」

『あはは、ごめん、冗談言って。でも生まれ変わったら真ちゃんと恋愛してみたかったかも。』


そう言って笑う彼女がすごく遠くに感じた。


俺はこんなにも好きなのに


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