俺たちは皆、バラバラの高校に行った。
なまえはさすがに、いくら赤司と同じ高校がいい、という理由だけで京都に行くず、頭のよかったなまえは俺と同じ高校に進学することにした。
赤司はそれでも、頻繁に東京に来て、平日はマメに連絡をしていた。
それほど心配なのだろうか。
きっと赤司は俺がなまえを好きだという事を、とっくに知っていたのだろう。
なまえは秀徳のバスケ部のマネージャーになった。
高尾からなつかれ、宮地先輩達からも好かれていて、チームのかかせない存在だった。
帰路、なまえは電話をしていた。
おそらく赤司だろう。
後ろから見ていると、どうやら喧嘩をしているようだ。
『征十郎なんて嫌い!』そう言い、電話を切った。
いつからか、赤司くん、から征十郎に、呼び方が変わっていた。
俺は中学の時はあまり嫉妬しなかったが、今は、違う。
少しだけ、彼女に触れたい、という気持ちが大きくなっていた。
後ろから彼女に触れようとすると、彼女が泣いていることに気付いた。
『ひくっ..くっ..』
なまえは高校に来てから、泣くことが増えた。
皆の前では泣かないが、いつも涙の痕が絶えない。
彼女はメイクで隠しているようだが、なまえをよく見ている俺にとって、それは分かってしまう。
「なまえ、大丈夫か?」
『...真ちゃん....。』
「ん」
俺はなまえを抱き寄せた。
『真ちゃんっ...』
「..我慢するな、思いっきり泣いていいのだよ」
そう言うと、なまえは俺にすがりつくように、声をあげて泣いた。
『遠いよ...』
「...そうだな。」
するとなまえの携帯が鳴った。
「..赤司じゃないのか?」
『ん...もしもし?』
そして俺は離れて、練習に向かった。
それからなまえは今まで以上に俺を頼るようになってきた。
頼られることはすごく嬉しい。
今日もなまえは泣いたみたいだ。
「.....大丈夫か?」
『...真ちゃんには全部お見通しだなー!うん。大丈夫。あー、真ちゃんが彼氏だったらよかったのに!もう!征十郎は悪魔みたいなんだもん!』
「ならば付き合うか?」
『あはは、ごめん、冗談言って。でも生まれ変わったら真ちゃんと恋愛してみたかったかも。』
そう言って笑う彼女がすごく遠くに感じた。
俺はこんなにも好きなのに
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bkm