『ね、私初めてスーパー銭湯?とやらに来たんだけど...』
「まじで?!お前、どんだけお嬢様だよ!」
「桃井、しっかり見守っとけよ、しっかり、な。」
「うん、出来るだけ頑張ります。」
そしてとりあえず男湯と女湯に別れようとしたときだった。
『え!何で?!混浴じゃないの?!私、皆で入りたい!裸みたい!流しあいっこしたい!』と叫んだ。
そのせいで、一般客たちはジロジロ見る。
「ちょ、なまえちゃん!私たちは女の子なんだから!」
『違う!私は男の子だもん!』
「なまえっち、何言ってるんスか!」
「だだこねてねーでとっとと行け。どうせまたすぐ合流するっつーの。」
『何で青峰はそんな冷静なの?!本当は青峰だってニャンニャンしたいんでしょ!』
「ばっ..//お前、何言って「なまえ、黙りなよ。」...。」
やっべ、赤司っちの顔がマジだ...。
あれは、本気で怒った時の顏なのだよ...。
赤ちん、こわーい。
と、キセキ達は悟った。
『む...だって、「だって、じゃないだろう。君のせいで、周りに僕に迷惑をかけているのが分からないのか。」....』
泣きそうな顔をしたなまえは女湯に向かって走り出した。
『赤司なんて!魔王なんて大嫌いなんだからぁ!』と言い逃げしていった。
それを桃井が追う。
「なまえちゃん!待って!」
そして不穏な空気が流れる、そこに空気の読めない男が言った。
「あーあ。泣かしたー。あれはいくらなんでも可哀相なんじゃねーの?」
そして青峰っちのバカ!と黄瀬は青峰を腕を軽くつつく。
そして赤司は薄く笑った。
「大輝、お前は何も分かっていない。そんな奴にはお仕置きをしなければいけないな。」
「えっ...。」
そして赤司は青峰を引きずり、男湯に連れて行った。
そしてすぐに、男湯から悲鳴が聞こえた。
「なまえちゃん、どうしてあんなワガママ言ったの...?」
『だって....』今は露天風呂に入っている。
『楽しみたかった、だけだし...。』と目の前の彼女はぶつぶつ言っている。
「...洗い流しっこしよっか!」
と、桃井はタオルと桶をとった。
そしてなまえがのぼせそうになったので、桃井はあわてて風呂から出て、ロビーの大きなソファに寝かせた。
そして赤司にメールをしたら、すぐに彼は現れた。
じゃあ、私はもう少し浸かってくる、と言って桃井は女湯に消えて行った。
赤司はソファに腰掛け、彼女を見る。
目の上には冷たいタオルがかけられていて、よく顔が見えない。
頬はのぼせて、少し、いやかなり赤い。
そして手のひらをなまえにくっつけた。
いつもなら彼女は飛びかかってくるだろうが、今はどうやらそんな気力が無いらしい。
そしてポツポツ、しゃべりだした。
『....赤司く、ん。..私はね、小学校の時にお友達がいなくて、ずっとこーいうのに憧れて、てね。だからつい、ワガママ言っちゃった。...ごめん、なさい。』
と消え入りそうな声で謝罪をしてきた。
そしてタオルを取ってみると、彼女の目には涙が浮かんでいた。
「...分かってるよ。」
と、頬をつたった涙を赤司は指ですくった。
しばらくすると、黄瀬たちがやってきた。
「あ、赤ちんとなまえちん〜。」
「どうやら仲直りしたみたいなのだよ。」
「そうみたいッスね〜。」
「俺って...」
「青峰くん、ドンマイです。」
fin
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