足を思い切り踏んだ (飛び上がるほど、)



「…で、謙也さん。その後ろの何ですか」
「さ、さぁ?」
「おい財前。口の聞き方には気ぃつけなさい」
「…はっ、」


部活中、謙也が財前とにこにこ笑いながら話しているのを見掛けた。
あぁ、また浮気か。この前尻掴んだばっかやのに、まだ分からへんのか謙也は。


「…なぁ白石、暑いねんけど」
「そうか」
「え、どいてくれへんの?」
「…まさか、どいて欲しいん?」
「そらそうやろ!暑いねんから!」


謙也は最近素直や無くなった。前は俺がへばりついても何も言わんかったのに。むしろ笑いかけてくれたのに!謙也!どないしたんや…!


「そら冬やったし寒かったから、湯たんぽ代わりやったんでしょう部長が」
「!財前…!」
「夏は暑いから用無しやんなぁ、部長」
「くっ…!」


財前の言うことは最もや。今日はめっちゃ暑い。皆ジャージを脱いで練習に望んでいる。
…?ジャージを脱い、で…?


「あかん謙也あかん!」
「えっ?!な、なに白石…」
「謙也はジャージ着なきゃあかん!腹チラなんて許さへんでぇ!!」
「はぁ…?」
「謙也、世の中汚い奴ばっかりや。そんなんやと喰われてまうで!」
「喰われ…?」
「せや。やからジャージ来てお願いやから」
「い、嫌や。暑い」
「何で!」
「やから暑いねんて!ジャージなん着たら茹蛸になってまう…!」


謙也はそういうと俺から擦り抜けて走って行ってしまった。


「部長フラれましたね」
「…財前?」
「怖いわー。ほな俺ももう行くんで」


財前はそう言うと謙也の方へ走って行った。そしてまた二人で盛り上がっとる。

あぁ、蔵ノ介もう耐えられへん!


「謙也ぁぁぁぁあ!!!」
「っ?!っいったぁあ!!」



足を思い切り踏んだ


「何すんねん白石!」
「やって謙也が俺を無視するから!」
「無視なんてしてへん!…でも、白石がそう感じたんなら謝る。ごめんな?」
「け、謙也…!」
(謙也さんってアホやなぁ…)



10/07/13

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