ボス!2




東軍の人達と会ってもう二週間が立った。東軍のボスの…忍足先輩?は、見た感じからしてもの凄く強そうやった。金髪やし。俺ピアス仰山しとるけど。
まぁ俺がピアスした理由は、東軍の奴らに舐められないためや。中二やし、弱いなんて思われたくないやん?まずは形から入ろう思て。最初は一個ずつやってんけど、三番手に千歳先輩が入って…あの人もピアスしてるやん。対抗心とちゃうで。ホンマにちゃうで。

で、そんな俺の今の状況はと言うと…


「番長ー、西軍の番長一人やで?やらんでええの?」
「えー…と、」
「番長はっきりしてえや!」


屋上で一人サボり決め込んでたら東軍のボス、忍足先輩とその仲間達がやって来た。とりあえずポケットの中には昨日遠山から取り上げた鉄パイプがある(ちゅうか中一がこんなん持っててええんか…)。
相手はボス含めて七人。唯一の出口であるドアは東軍の奴らの後ろ。遠山や千歳先輩に連絡取ろうにも、そんなことしてる間にやられるだろう。

迂闊だったとしか言いようがない、まずこの場を切り抜けなくては。俺はすぐ出せるようにポケットの中に手を入れた。


「っ〜、止めや!」
「………へ?」
「な、何言うてん?!今こいつ一人やで?!」
「一人やからや!フェアやないやろ、寄ってたかってなんて…」
「や、やけど!」
「ボスが言ってんねやから言うこと聞かんかいボケェ!!」


忍足先輩は自分の仲間達にそう言い放つと、俺に近寄って来る。
まさか、今からタイマンをはるつもりやろうか。俺昨日ネサフしまくっとったから睡眠不足で本調子やないんやけど…。

俺がそんなことを考えていると、忍足先輩は俺の前に立ち軽く頭を撫でてきた。
は?何で?何で俺、頭撫でられとんの?


「すまんな、うち喧嘩っ早い奴多いねん。悪い奴らやないから許したってな?」


そう言うと忍足先輩は仲間と共に屋上から出て行った。


俺はと言うと、あの緊張感から解放された安堵で深くため息をはいた。

俺は、助けられたんやな、敵である東軍のボスに。
それがなんだか凄く情けなく思えて、果たして俺はタイマンであの人に勝てるのだろうか、と考えた。あの人は強い。あの小石川先輩が瞬殺される程や。

ドクン、と心臓が嫌な音を立て、額から汗が流れた。





10/05/27


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