電話恋人1




「光!」
「ん?なんや謙也さん」
「し、らしい様から電話やで!」
「…部長から?」


部長から電話が来た、と告げたのは俺の携帯の謙也さん。
本来携帯は小さくなっとんのが主流やねんけど、俺はそんなことせぇへん。ありのままの謙也さんでええねん。

最初に謙也さんを見たのは、三月の中頃。部長と部長の携帯の千歳さんと一緒に携帯ショップに行ったら、金色の綺麗な携帯が置いてあったんや。それから俺の行動は早かった。音速を凌駕するスピードでその携帯に近付き、これ下さいと店員に言った。まぁ、所謂一目惚れ、やな。
流石にそのままのサイズで持って帰るのは無理やったから、小さいサイズになってもらい家に帰ってから早速充電した。ボタンを押して起動した時の謙也さんの可愛さったらなかったわー。「こん、にちは!」って。


「ん、ほなボタン出して」
「…ここで?」
「出来るやろ?謙也さん」
「…ん、」


謙也さんは顔を赤くし、服の裾を持つとゆっくり持ち上げた。俺の目の前に二つの赤い突起が晒され、俺は戸惑い無しに左の突起を押す。


「はい、部長?」
「…なんか、明日の部活は昼からに変更された、らしいで」
「分かりましたって言うて」
「……ほなな!て」
「ん、さよなら」


通話が切れたのを確認してから、今度は右の突起に手を伸ばす。くに、と押すと謙也さんは、あっ、と小さく喘いだ。


「…謙也さん」
「ん…なに?」
「これからもずっと一緒におってな」


だって、謙也さんの持ち主は俺だけなんやから



10/06/17

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