終わらない恋になれ



恋なんてした事なんてない。

中三になって周りの友達は彼女やコイバナとかいう話を頻繁にするようになって何だがワイは居心地の悪さを感じておった。

ワイにとって“好き”っちゅー感情がわからん。『たこ焼きが好き』『テニスが好き』『ツヨい者が好き』の“好き”とはちゃうって彼女が居る友達に言われた。じゃあ何に対して“好き”っちゅー事に当てはまるんやろうか。それがわからんから恋なんてした事がないんかな。別に興味があるとちゃうけどやっぱモヤモヤしてもうて、好きだったたこ焼きの味もわからんくて、テニスだって楽しくなんかなかった。


「ひかるは誰かを“好き”って気持ちになった事あるん?」

「ぶはっ!」

「うわっ!コーヒー吹き出すなや!!」

「金ちゃんのせいやろっ…!」


「いきなり何やねん!」と口から溢れたコーヒーをティッシュで拭いている光の目がワイを睨めつけておった。とりあえず光には今までの流れとワイの疑問をぶつけてみたのだが相変わらず光の目はワイを睨め続ける一方やった。


「受験生やろ金ちゃんは。そんな下らん事考えないで早う勉強でもせぇ」

「でも気になってしゃーないもん!勉強どころちゃう!」

「…金ちゃんは俺と同じ学校行きたかないん?」

「…うっ」


それはそれで困る。
今日はワイが光の通ってる高校に合格する為、受験勉強を見てくれていた。今のワイの頭じゃ逆立ちしたって入れん高校やから光が熱心に教えてもろうてるんやけど、やっぱモヤモヤしたままじゃ勉強なんて集中できへん。


「なぁなぁー簡単でええから教えてやぁ―」

「金ちゃん…」

「一言でええから!」

「…一言で表すほど“好き”って簡単なものやないよ」

「え…」

「上手く言えへんけど、大事にしたいとか一緒に居たいとか…色んな感情が巡るもんやから一言なんて言い表せない」

「……」


もし光の言う『大事にしたい』や『一緒に居たい』が“好き”っちゅー気持ちやったらワイは光のことが“好き”や。

光の側にいたいから嫌いな勉強だって頑張れる。光のこと大事にしたいから、いつでも守れるように強くなりたいと思ってる。


なぁ、ひかる。

これが“好き”って気持ちやったらワイは光に恋してるでええんかな。


(いつまでもこの気持ちでいたいから)



(ずっとずっと君に恋してたい)


「ワイ、ひかるの事が好きや!」

「ぶはっ!」


fin
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猿島さんが主催する金光企画『金に輝く光の輪』に提出させていただいた金光!
金ちゃん視点は難しい事に気づきました^^;

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