長靴パフェ早食い競争、その名も「甘味王決定戦」。開始10分、私は勝利への道を独走している―――筈、だったのだが。


(な、なななにあいつ…!)


眼前には大きな壁が立ち塞がっていた。
私の隣に席を構えたのは、銀髪天パの男。半分着崩した着物にブーツという奇妙な出で立ちのその男は、まるで生気のない濁った目でちらりと私を見た。そして。

――ものすごい速さでパフェを書き込み始めたのだった。

とんだ誤算だ。この町にこんな甘党男がいるだなんて。件の長靴パフェは、予想を超えるデカさと甘さで、挑戦者を苦戦させていた。しかもウェイターは皆、とんでもなくイケメンだ。これではパフェを口に流し込むだなんて芸当ができるわけがない。
そんなわけで既に大半の参加は脱落していた。そう、私と銀髪の一騎打ちであった。


(やるわね…)


口にスプーンを運ぶ手を止めずに、私は男の様子を伺う。男性というだけで随分な強敵だ。おしとやかさは微塵も求められないので、躊躇いなくがっつくことができる。

(でも私も負けない!)

今日は女らしさを屯所においてきたので、私も彼と大差ない食べっぷりである。勝負は間違いなく五分五分だった。
時間も量も、残り半分を過ぎたが、速さは落ちることなくむしろ加速する。
観客は固唾をのんで見守る。
ウェイターは唖然と立ち尽くす。
主催者は不安げに瞳を揺らす。


そして。
勝敗を分けるゴングが響いた。




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