その男との出会いは、私にとって偶然の産物でしかなかった。あの日非番でなかったら、沖田隊長を撒けてなかったら、お腹を空かしてなかったら、パフェ早食い競争に目をつけてなかったら、今もまだかのなんでも屋とは知り合っていなかった。
これは私とかの侍の、出会いの物語。




甘味王決定戦




チラシを手にした瞬間、私は勝ちを確信した。


「ジャンボパフェ早食い競争、か」


読み上げている最中も、笑みを隠しきれない。それは最近若い女の子に人気なある洋菓子屋の、創立3周年企画。長靴パフェ、という愛称の通り、長靴のように(しかも巨人の長靴だ)高く大きな器に盛られたパフェを誰が一番に食べきれるかというもの。


「ちょうど甘いものが食べたかったんだよね〜」


そういえば、甘いものを久しく食べていない気がする。私が手に入れた茶菓子が、ことごとく隊長に強奪されるからである。それに、収入が思わしくない私には、甘味を買うだなんて贅沢ができない状況だ。…なんて切ない…。
だがしかし!この早食い企画、勝者はタダになるというではないか!!


(出るしかないでしょ!)


ちなみに敗者には高額なパフェ代が請求されるのだが、私には勝算があった。こんなに甘ったるいもの、女の子しか食べない。そして私はそこらの女の子のように可愛らしい胃袋も、食べ方ももっていないからだった。極めつけに開催店は、上品なデートスポットで有名な店。どんな大食らいでも乙女であるならば、上品に食べざるを得ない。ここでしくじったら、まずかぶき町でデートなんてできないのだ。


(でも私は、気にしないからいいや)


しかも、私はすばらしいシールドを持っている。田舎者という肩書きだ。


(田舎者だと言ってしまえば、大抵の恥はなんとかなるわ!)


それはどうかと思うと言われそうだが、私にとっては事実なのだから構わない。





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -