……って。

いやいやいや!ちょっとそこなんかカッコつけての登場だけどさ!電話ボックス破壊したからね?登場遅すぎだからね?剣の使い手、使ってるの剣じゃなくてバズーカだよねええ?!!!

しかし不憫な犯人は、真撰組の登場に興奮。最早突っ込むどころじゃない。


「ははは!来るのが遅いぞ真撰組!お前らがこの要求を呑まなければ、この女の命はないぞ!」


(よっぽど来てくれて嬉しいんだな…)


その場にいた人々の心がひとつになった瞬間だった。

それは兎も角。
真撰組隊士を名乗る青年は、けだるそうにバズーカを仕舞い(あの大きさのものをどこにしまったんだ?)首をかしげて犯人を見る。


「人質?」

「そうだ!一般市民が犠牲になるのは見ていてさぞかし悔しいだろう!」

「撃てよ」

「え?」

「撃てばいいじゃねーか。そんな女が死んだところでこっちは知ったこっちゃないでさァ。大体、今俺はいらいらしてんでィ。こんなかったるいどうでもいいような仕事押し付けて、あいつは今頃楽しく過ごしてると思うと腸が煮えくり返りそうでさァ。あー腹立たしい」


ぽかん、と。
犯人の口も、聴衆の口も、私の口も、だらしなく開く。


「え?ええ?!」


静寂を破ったのは私。
だだだって、この青年は私を見殺しにしようとしている。偶然出くわして、人質にされた被害者の私を見殺しに。犯人との駆け引きならまだしも、けだるそうに、しかし目は本気だ。


「なんだ人質女、何か言い残すことでもあんのかィ」

「……ね」

「あ?」

「お前が死ねよ!!!!?」


私の悲痛な叫びに、青年は大して驚きもせず「煩い」と一蹴。


(何、この男むかつく!明らかに私と同じか年下の餓鬼の癖に!真撰組とか言ってたけどきっと配属されたばかりの馬鹿にちがいない。お前なんか鬼教官に木っ端微塵に粉砕されてクビにされてしまいええええ!!!)


とりあえず恨みの篭ったどろどろした因縁を念じておいた。
青年は興味なさそうに私から視線を外し(失礼なやつだ)、犯人に向かってニヤリと笑う。


「俺は要求なんか一切呑まねェからな。掛かってくるのかこないのか、はっきりしろィ」






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