茶色くんはきっと用事を思い出したのだろうという結果に至った。また、あとで聞きにいけばいいのだし。


「で、私は副長室へ連行スか…」

「まぁまぁ、怒られにいくわけじゃないんだからさ」

「(お前が言うな…!)」


丁度、昨日局長が美味しそうなお菓子を買ってきていたのを思い出し、お茶請けに、と一緒に盆に載せる。
結局断りきれずに、大人しく山崎さんの後を追うことにした。





「副長〜お茶持ってきましたぁ」


適当に声を掛けて戸を開いた部屋の中には、土方副長と沖田隊長が向かい合って、それぞれ微妙な顔をしていた。とりあえず、楽しく談笑していたような雰囲気ではない。


「あれ、沖田隊長今日は非番じゃなかったんですか?」


先程とは違い、きっちりと隊服を着込んだ隊長。堅苦しい隊服をわざわざ着ているなんて、随分仕事熱心である。


「土方コノヤローに呼び出されやしてね。本当死ねばいいのに」


隊長は溜め息を吐いて、愚痴を零した。副長は何も言わずに手元の書類に目を通す。山崎さんは私の後ろからこっそりと部屋に入り、副長にそろりそろりと近づいた。副長は、山崎さんの姿に目つきを険しくした。山崎さんざまーみろ!


「あ、じゃあ私隊長のお茶も持ってきますね」


隊長がいることを想定していなかった為、湯のみはひとつ足りない。私が立ち上がり掛けると、沖田隊長がそれを手で制止する。


「もう、戻るから要らないでさァ」


そう言うと沖田隊長は、そのまま振り返ることも無く、部屋を後にした。


「沖田隊長、やっぱり今日調子悪いですよね」


いつもだったら皮肉のひとつやふたつ、言われそうなのに。隊長の気配がすっかり遠ざかってから、こっそりと副長に問と、副長は私の方をちらりと見た。


「なんで、そう思う」

「なんでって、覇気がないというか…」


あまり上手く説明できない。
唸りながら首を傾げていると、副長がすっと私の前に小さな紙袋を差し出した。


「名字、総悟の部屋にこれもってけ」


受け取り、その中を覗く。
中には消毒液、塗り薬、新しい包帯。


「…副長、これって」

「あいつ、無理してやがる」


副長は、ゆっくり紫煙を吐き出した。




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