「名字さーん」


突然呼ばれた声に振り向いたら、こちらに手を振る山崎さん。


「げ、山崎さん」

「げ、って何だよ。なんか会いたくないみたいな!俺傷つくし!」


だって、山崎さんっていまいちキャラが掴めないんだもの!沖田隊長にも巻き込むし、ちょっと警戒中です。


「ラケット?またミントンですか山崎さん」

「ああ、うん…。でも名字さんの顔見たら、副長に用があるの思いだしたよ…」


人を見て残念そうな顔をするなんて、失礼な人だ。…私も人のこと言えないけどね。
しかしに、どちらかといえば私の方こそ残念。うん、だって山崎さん、絶対厄介事押し付けにきたなってそう思うんだ。ほら、妙な笑顔で手招きしてるし…!


「丁度いいからお茶煎れてさ、一緒に副長のとこいこうよ〜」

「はあ?何で、何で私も巻き添えみたいにしようとしてるんですか?キレますよ」

「でも今暇でしょ?」

「私は茶色くんとお話するっていう仕事を…あれ?」


ね、茶色くん、と彼に助けを求めようと振り返った先には誰もいない。あれ、今ここに茶色くんいたよね?山崎さんが出てきた上に恥ずかしくて目を逸らしてたけど、消える、なんて。


「…山崎さん、今ここにいた青年隊士どこいきました?」


すると、山崎さんはきょとんと首を傾げた。


「え、名字さん一人じゃなかったの?俺が見たときはもういなかったけど」

「な…何言ってるんですか、いましたよ!」

「――名字さん、その人ちゃんと足、あった?」


仕舞いには、神妙にそんな事言い出した山崎さん。あ、足って!


「ありましたよ!足!」

「でも…消えたんでしょ?」

「いやいやいや、認めないですよ私は!」

隣にいた筈の人が、煙のように消える。
そんな怪談話があったような気もしなくもない。いやいや、怪談話とか作り話だしね?霊感とかないしね私!


「人が消えることなんてありますよね!そんなん普通です!」


人類のめざましい進歩は、今や止まることを知らず!人が空を飛べるのだ、消えること位どうってこと…ない…よね。うん。…というか、なんで私がそんな心配しなきゃいけないんだろう!


「この連載はホラージャンルじゃないだろうがァァア!!」


私、名字名前。
いくら温暖化で暑いからって、ホラージャンルヒロインになるなんて、みとめません!

※なりません。




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