3 「ところで、隊長は私に用があったんじゃないんですか」 山崎さんと別れ、何気なく隣を歩いていた私は、隊長を伺う。隊長は「嗚呼」と思い出したかのように、懐から紙の束を取り出した。 「土方の野郎からですぜ」 「土方さんから…?」 それは「春雨対策」と銘打たれた書類だった。 …宇宙海賊春雨から逃れる為の対策及び規則。 一、これから1ヶ月間名字名前を屯所預かりとし、監視を兼ねて保護する 二、名字はバイト扱いとして雇用する 三、住居は真選組が用意する。基本的に幹部以外には教えないこと 四、外出時は必ず誰か隊士が付き添うこと ――…外部の人間には名字の存在を悟らせないこと 「…これって」 「見ての通りでさァ」 ずらり、と並べられたそれは私の扱いに関する規則。かなり細かいことまで書いてある。 「守らなきゃ切腹ですぜィ」 「切腹ゥウ!?」 「当たり前でィ、真選組なめんな」 さらり、ととんでもないことを告げられた。真選組では規則破りは切腹が基本。まぁしかし、それは脅しのようなものなのだろう。 「でも隊長、これによると私、一人で外歩くこともままならないんじゃないですか?」 ――…外出時は誰か隊士が付き添うこと 「確かに保護目的だけども、これじゃ軽く軟禁な上にこき使われてるだけじゃ」 「今更気付いたんですかィ」 「へ?」 「はっきり言うと、まだ若干あんたの疑いは晴れてないんでさァ。だから軟禁は当たり前でィ」 ………知りませんでした。 確かによく考えれば、あんな早く疑いが晴れるなんてないよね!だって本当に春雨の一員だとしても「違います」で通すに決まっているもんね。その上私は田舎出でこの江戸には保証してくれる人もいないし? ぶっちゃけ怪しいにもほどがあるって? 「なんか切ない…」 「ま、俺ァあんたが嘘つけるほど器用な人間だとは思わねーけど」 「(それもそれでなんかな)」 |