真選組の隊服はけっこうかっちりした、いかにもな感じものだ。黒い布地に金の縁取り、白いスカーフ。仰々しい。
その仰々しい隊服を渡された私は、広げてから他の隊士とはデザインが若干違うことに気がついた。
いや、違うっていうか…


「何でミニスカ?」




第五話




副長からだ、と山崎さんから渡された包みの中身は真選組の隊服だった。そっか、今私は私服で動き回っているけど、バイトといえども隊服を着るのは規則。支給されるのは当たり前だよね。だが、それを広げて私は自分の目を疑った。


「山崎さーん、なんかこの隊服、間違ってるみたいなんですけど」

「え? …間違ってないじゃない」

「いやいやいや、ちゃんと見てくださいよ。ほらここに変なものが」

「どこにも変なものなんて…」

「ちょっとボケも大概にしろォォ! これ、ミニスカートとか明らかに可笑しいでしょうが!!」


とぼける山崎さんの顔面に、私はつまみ上げたそれを押し付ける。
スカートだ、スカートなのだ。渡された隊服はズボンでなくミニスカートに変えられていたのだ。これは誰かが悪戯で入れたに違いない。きっとそうだ。だって有り得ないでしょ、ミニスカで仕事って!!


「てことで、ズボンお願いします」

「……あの、この隊服間違ったわけでもなんでもないんだけど」

「へ?」

「だから、君の隊服はあらかじめスカート。あ、これはちゃんと会議開いて決められたことだから」


山崎は優しい笑顔で、やんわりとスカートを私に押し返した。勿論、私は理解できずにまたそれを山崎さんに押し返す。


「会議ってどういうことですか!」

「だから、名字さんの新選組での処遇を決める幹部会議だよ」

「それとスカートがどういう関係なんですか!」

「真選組の今までの隊服は男服じゃない。だから君の服を特注に当たってデザインの若干の変更を…」

「と、特注…?」

「特注」


特注。ってことは、この隊服は私の為だけに作られたものってことだよね…スカートも。


「うわぁああくそォオ!特注されたんじゃ着ない訳にはいかない…!」


そう、特注とはつまりオーダーメイド。すなわち、


「そんな高価な!」

私はかなりの貧乏性なのであった。


(だってこの隊服、私が着なかったら捨てられるんだよ!?)




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