2 ターミナルで襲われた時は、真撰組が来ないから、と偶然人質にされた。ついでについさっき斬られそうになったのも、偶然私が目についただけだろう。 敢えていうと運が果てしなく悪いが、手錠を掛けられる理由にはなってない。 「だが、あのとき人質になったことで、ちょっと厄介なことになっちまってな」 何気ない顔で、紫煙を吐き出した。ぎらぎらと光黒い目が私に向けられる。 「あんた、今宇宙中から命狙われてる」 …………はい? ごめん、今私とてつもない聞き間違いした気がする。絶対今の聞き間違いね。 「………、もう一回お願いします」 「名字名前は、今宇宙内で一番の賞金首だ」 「……は?」 聞き間違いでもなんでもなかったみたいです。強いていうなら、こいつ(土方)の頭がどうかしてるみたいです。と、いうか…賞金首ってあれ、殺して首持ってくとお金貰える、みたいな。海賊とか犯罪者の顔写真が配られるやつ? 私はいまいち状況が理解できないが、土方はふざけているわけでもなんでもないようだ。でも、本当に覚えがない。だって江戸に着いたばかりだったし。 沖田は、くすくすと馬鹿にしたように笑い、ぐ、と顔を近づけた。意地悪く歪められた口が囁く。 「俺は、春雨の重要機密を持って逃亡…とか聞きやしたねェ」 「春、雨」 「お前も知ってるだろ。宇宙海賊春雨くらいは」 宇宙海賊、春雨。 それは今宇宙一危険とされる、犯罪集団だったと思う。勿論私は機密どころかメンバーすら知らないが。 「一説によれば、名字が実はあの男とグルで人質騒ぎはわざとだった、そして真撰組に捕らえられた男の代わりに名字が男の持ち出した極秘資料を持ったまままんまと逃げた…らしいですぜ」 あの男は春雨との繋がりを持っていて、春雨の機密を持ち出したのは本当だという。 「しかも奴、機密は女に渡したって言い張ってまさァ。本当に何も貰ってないんですかィ」 「まったく、なんにも」 「それはそれで、捜査が難航するな…」 「あの…私は潔白だってわかってもらえたみたいだけど、それでもかなり、私の立場やばくない?」 |