6 道場で迎え出たのは、五人の男だった。年齢はまちまちだが、年長の者でも井上の少し上くらいだろう。 一方こちらは、近藤、土方、井上、沖田と千夜である。人数は対等とはいえ、こちらはそのうち二人が子供。どう考えても不利だ。 形式は三本勝負、勝ち抜き戦。相手の大将を倒せばこちらの大将が手を出すまでもなく、勝てるという寸法である。 そしてこちらの大将は、千夜だった。 近藤たちは千夜の実力を当てにしていない。土方か井上が相手の大将に勝てば千夜の出番はないのだ。最初からそのつもりだった。 相手の男たちは出てきた千夜を見て、にやにやと笑う。土方はそれを黙殺した。 「では約束通り再試合を始めようか」 まとめ役らしい男が声を上げる。そしてちらりと千夜を見た。 「我々はどんな相手でも全力で戦うので恨むようなことはないように」 「そりゃこっちの台詞だ」 土方はその挑発を混ぜっ返して笑う。 「結果には恨みっこなしだ。闇討ちなんぞされたらたまらないからな」 男は気分を害したように口をきつく結んだ。 そして、試合は始まりを告げる。 初め、土方勢が有利であった。一人を倒した井上だが二人目で隙をつくり、あえなく敗退。しかし技量は互角かそれ以上、井上の方が勝っていた。 次いで土方。あっさりと二人目を倒して早くも大将との戦いである。余裕、と思った。実際、口端に笑みが浮かぶほどに。 土方は前回一人で相手方を一網打尽にしている。もとより恐れる相手ではない。 しかし、ここで誤算が起きた。 「始め!」 審判の声が響く。 その瞬間、瞬くより早く土方の竹刀は背後の壁に叩きつけられていた。 |