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焦ったのは、三人である。
半数程は倒したものの、まだ余裕とは言い難い。それぞれ複数人を相手にしている状況で千夜を狙われれば、すぐ駆けつけることはできない。

頭の男はにやりと笑った。三人が気を取られた一瞬で、一気に千夜へと迫り刀を振り被る。
皆が、はっと千夜へと意識を向ける。斬られる――思った、瞬間。


「私をあまり、馬鹿にしないでいただけるかしら」


――仰け反り、よろめき、痛みに苦しむように後ずさったのは男のほうだった。
彼は、額から血を流していた。

簪だった。

彼女は頭から咄嗟に抜いた簪を、迫りくる男の額へ投げつけたのだ。見事それは男の額に突き刺さり、傷を負わせたのである。
男は、足元に落ちた簪を踏みつける。先程までの余裕はない。怒りに満ちた表情で、千夜に刀をつき立てようとする。

だがその隙を突いて。
男の背後に迫った斎藤が、彼をねじ伏せた。





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